今は皆の視線が集まる中に二人は座った。
『改めまして。私達二人は死神、です。といっても信じてもらえないでしょうから、まず死後の話からしますね。光、』
「はい。」
「つーかお前、女だったのかよ....。」
「新八、お前はまるで気づいてなかったよな。俺はすっげー別嬪だったからすぐ分かったけどな。」
「僕もだよ。」
「俺としたことが全く気が付かなかったぜ...。」
どうやら気づいてなかったのは新八と近藤と斉藤だけだったみたいだ。
土方さんは何も言わないってことはある程度、感づいていたのだろう。
そして光が尸魂界について、虚の話について話し出した。
幹部たち全員は興味津々だ。
土方と総司には眉間に強い皺が寄っているが。
「っつーことは死後に世界があるんだな。...へー。」
『悪い行いをした方には勿論無理ですがね。』
「まー、さっきの化け物を見ると死神っていうのも信じるしかねーな。」
『さすが土方さん、話が早いです。けれども、あなた達も羅刹、という化け物を飼っていますよね。』
「飼うって言い方はあんまよくねーんじゃねーか。」と左之さんが入ってきた。
「それよりさ、何で君たち死神様たちがわざわざ、こんな所に来ているの?暇なの?」
すると総司の問いかけに光が口を開いた。
「いいえ。私たちはここの虚退治、そしてもう一つは羅刹について調べることでした。」
「.......でしたっつーことは...。」
「はい。勝手に変若水を頂きました。そして尸魂界の研究部に出しました。」
すると沈黙が流れる。
山南さんの顏にはうっすらと汗が見える。
『...で、尸魂界でも権力の強い者が判断を下しました。それは羅刹の排除と変若水を一滴残らず、この世界からなくすことです。』
と言うと、ずっと黙っていた近藤さんが珍しく声を荒げた。
「さっきから君たちはっ...それに!...羅刹の研究はお上が『そんなこと承知しています。ですが今は羅刹たちも血を欲するだけ、しかしいつかは力をつけ、先ほどの化け物のようにあなたたちの魂を求めるのですよ?止められますか?』....くっ。」
「君さ、近藤さんになんて言い方してるの?」
と総司が刀をなまえに向かって投げたが、それは光の素手によって止められた。
彼の手には血、一滴も見えない。
「....お前と光の関係は何なんだ。」
『そうですね、尸魂界の護衛、現世における魂魄の保護、虚の退治等の任務をこなす実動部隊。それは十三不部隊で構成されています。私たち零番隊はその中でも一番強い、ですね。そして私が隊長で光が副隊長ですね。まぁ貴方方が尸魂界に来れば分かると思いますよ?』
「へぇ....。それは楽しそうだね。」
と総司は笑ったが、羅刹となった彼には尸魂界に来ることはないだろう。
なまえは目を伏せた。
『で、どうしますか?...といっても反対されてもこの任務は行うつもりでいます。』
そして長い沈黙が流れた。
全員が近藤さんの返答を待っている。
「.....分かった。了承する。」
「近藤さん、本気か。あんたがそれを言ったら俺ら新選組はのたれ死ぬぞ。」
「止めようとしても、無理なのだろう。それならしょうがない。」
と苦い顔でうなずいた。
『ありがとうございます。...早速ですが変若水を研究していた場所に連れて行ってください。』
すると土方は左之に目配せし、左之に連れてかれた。
そして部屋の前に立った。
なまえと光の隣には左之と山南さんと土方さんがいた。
『ここは光に任せていい?』
「はい!」
「今までとキャラとちがくねーか...。」
「なんつーか犬みてーだな。」
そして光が扉に手を置き、「はっ」と言うと、爆発し、部屋が全部燃えた。
『上手い事、範囲ココだけに出来たねー。』
「隊長の指導のおかげです。」
そしてその後、山南さんを別の部屋に呼んだ。
『山南さん、羅刹に関わる全ての事について教えてもらいたいんです。例えば鬼、のこととか。』
「....はぁ。そうですね、文献も何も全部なくなってしまったら全部吐くしかないですね。」
と言い、全てについて話してくれた。
途中、千鶴も話に加入し、千鶴の父が羅刹の研究の元凶だという事が分かった。
「お父様はまた、私の所に帰ってきますか...?」
切なげに言う千鶴になまえは笑った。
『うん。きっとまた江戸で住めるよ。』
長い廊下に出て、光と歩く。
「隊長、どうしてあんな嘘をついたのでしょうか?」
『意味なんてないよ。千鶴はまだ幼いじゃん。...大罪を犯した人が元の生活に戻れるなんてどう考えても無理よね...。千鶴には悪いけど。』
「そうですね..。今夜ですか?」
『うん、今夜。』
そして土方の部屋の前につくと、気配を感じていたのか「入れ」と返ってきた。
光にはそこにいて、と目配せし一人で入った。
「用件は何だ?」
『....今夜、雪村鋼道を暗殺します。』
「....まぁ分かってはいたことだがな。この件は全部お前に任せる。」
『ありがとうございます、』だけ言い立ち上がると手を引かれた。
思わず首をかしげると、いつになく真剣な表情で「気をつけろよ」と言われた。
そして日は暮れる。
fin