一週間以内に
その次の日だった。
平助は亡くなった。
私は今すぐにでも尸魂界に帰りたかったが、そうはいかない。
こちらにも任務が残っている。

総司は私を責めることもなく、ずっと部屋にこもったままだった。
しかしある日、近藤さんが何者かに狙撃され、重傷を負った。
ずっと見張っていたつもりだったが、この出来事をきっかけに総司は止めなくとも変若水を飲むことは分かっていた。

その夜、総司は羅刹になり、近藤さんの仇を取ろうと外に出ていった。
それを止めるものはいなかった。
きっと誰が何と言おうが行くと分かっていたから。



次の日の朝、元気そうな総司が広間に現れた。
皆は少し驚いていたが、私は総司を一目みてすぐに視線を元に戻した。

「飲んだよ。」と総司が隣に座ってきた。
なまえはそれを気にすることもなく、漬物に手を伸ばす。

「ね、なまえちゃん。」
と言われ、思わず箸をとめ、総司を凝視した。

「僕ね、知ってるよ。君が女の子っていう事。」
耳元で総司がささやき、それをみた右隣にいた光が勢いよくなまえを引っ張った。

「貴様...。」

「あー怖い怖い。」
と言うと、総司はご飯に手を付け始めた。




その日の夜だった。
いつまでもここにいてられないので、私と光は行動した。
それは変若水を入手する事。
少し強引だったが、こうするしかなかった。


山南さんの部屋に行くと彼はいなかった。
するといくつか、変若水らしき瓶が目に入った。
それを見極め、一つ手にし、その場を後にした。
そして伝令神機で阿近に連絡を入れ、研究してもらえるように変若水を尸魂界に送った。

三日がたったが、屯所内では変若水がなくなった事には気づいていないみたいだ。

すると阿近の連絡が入った。
メールで確認し、それを光にも伝えるために光の自室に向かった。
中には左之さんがいた。
何だか異色な組み合わせに首をかしげた。

「お、なまえ。どうしたんだ、険しい顔して。」

「....原田さん。少し席を外していただけないでしょうか。」

「!ああ、悪い。気が利けなくてな。」と出て行った。

左之の霊圧が遠くにいくことを確認して『結果が出た。』と光に言い、伝令神機を見せた。

内容はこうだった。

羅刹の姿かたちは違うが虚の類に入るらしい。
そして最初は血を欲することしかないが、限界を超えると人間の魂魄を欲するようになる。
そして羅刹になったものは尸魂界へ迎え入れることはなく、“地獄”行きだ。
最後に山じいからの伝言という事で羅刹は全員処分し、変若水も残らず撤収し、二度と同じようなことが起こらないように、記憶操作。
これを一週間以内でこなし、帰還せよ。

との事だった。

「...一種間以内って急ですね。」

『でも光の顔は嬉しそうだよ?』

「...う、だって帰れるし...。」

『だよね、私も。...ま、帰ったところですぐ仕事だろうけど。』と笑った。

『....でも一週間以内、どころか3日くらいで帰れそうね。』

「...みたいですね。」
屯所内に大きな霊圧を感じた。
おそらく大虚、だ。
二人は死神化し、霊圧が高い庭に向かった。

そのには大虚に向かって刀を構える幹部たちとその後ろに千鶴がいた。

「なまえと光か?!その恰好...女だったのか?!」

「それより早く援助しろ!!」と土方が声を荒げる。

「くっそ、この化け物は何だってんだよっ....」と新八が虚に向かっていったが、人間の力には敵わず簡単になぎ倒されてしまった。

“シニガミイイイ!!!タマシイヲヨコセエ!!”
と向かってきたが、二人は難なく瞬歩で避ける。

「死神、だと....?」

「早くて見えなかったぜ....。」

二人は虚の前に立つ。

「隊長、僕がやりましょうか。」

『いや、この子を久々に使ってあげないとね。...光は幹部たちを結界で守ってあげて。』

「御意。」
光が結界を張った事を確認し、なまえはもう一度体制をとる。

瞬歩で大虚の頭上に移動し、一気に振り下ろすと腕と体が離れたが、再生の力が高くすぐに腕が繋がった。

『なかなか早いのね、』

虚の攻撃を避けながら、詠唱破棄を唱え始めた。


“雷鳴の馬車
 糸車の間隙
 光もて此を六に分かつ

 縛道の六十一 『六杖光牢』!”

虚の体を六つの光で胴に囲んで身動きを封じた。

『さて、とどめと行きますか。』
なまえは、“ 放て 雷花 ”と言うと斬魄刀が桜色になり、剣先は光り、小さくパチパチと鳴る。

そしてクイと剣先を虚に向けると虚の体には強い稲妻が走り、その隙に扇子を取りだし一振りすると桜の花弁で虚をは覆われ姿は見えなくなった。
しかしなまえは桜の花びらに向かって剣を投げると、虚のうめき声が聞こえ、桜の花びらが散るころには虚の姿はなかった。

「相変わらず美しい戦い方をしますね、隊長は。」

『ありがとう。....さて、』
二人は幹部の結界をとき、土方は広間に来い、と言ったのでそれに付いていった。

fin


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