観光
しばらくして、名前を聞くとなまえというらしい。
日本人らしい名前だと言うと、日本ってどこ?と返された。

『ねー!お腹すいたんだけど!』

「てめぇはもう少し、態度っつーもんをわきまえねーのか。」

『態度?何それ美味しいの?』

「殺す。」
総悟はそんな二人を見て笑っている。というかもっとやれ、とあおっていた。

『ね!この世界、案内してよ!』

「ああ?」

『土方さんに言ってないよー。総悟!ね?』

「てめー!っつーか総悟!お前は仕事あんだろ?!」

「ちっ...」

「ちっ、じゃねーよ!とっとと戻れ!」

へいへーいと言い、総悟はその場から消えた。

「お前、出ていくのはいいがその服はねーぞ?」

『え、こっちではそうなの?』

「ああ、待ってろ。制服は明日中にやるし、今だけ女中に頼んで着るもん持ってきてやる。」

『ピンク色しか着ないからね。』

「てめー、世話になるもんに対して注文か?」

『うん。』そうなまえは満足げに笑った。

しばらくして女中は一着の着物を持ってきてそれをなまえに着せると、大興奮だった。

『何これ!めっちゃ可愛い!』

「よかったな。...行くぞ。1時間で帰るからな。」

『えー!短い!』と言いながらも大人しく土方の後を歩くなまえだった。



そしてなまえは日常生活にいるものを自分が持っていた金の金貨を質屋で売りお金に換え、買い物をした。
土方さんが俺が買ってやる、と言ってくれたがさすがにそこまでお世話になるわけにいかないので断ると意外だ、みたいな顔をされた。

私が下着屋に入り買い物を済ませて外を出ると、土方さんが誰かと話しているのが見えた。
私は土方さんのそばに寄った。

「ほぅ、非番に女と買い物とはまた平和なもんだ。」
と髪がポニーテールで浅葱色の羽織を着た人が言った。

「うるせーよ。」と土方さんが低い声で言った。

『土方さん、お待たせしました。』と、私はこっちに来て初めて敬語を使った。この空気的に。

「ああ、けーるぞ。」

『はい。』と言うと「いいなー、僕も仕事休んで女の子と遊びたい。」ともう一人の茶髪が言った。

土方さんの顏をのぞくとものすごくイラついてるのが分かった。
私は胸元から剣を出そうとしたが、土方さんの手によってそれは制された。

「てめぇら、人に油売ってる暇があんなら真面目に仕事しろよ、新選組よぉ。」

そう言うと茶髪が剣に手を持って行ったが、それもまたポニーテールによって止められた。

「やめとけ総司。」

そして土方さんが私の腕を引いたので大人しくそれについていった。
着いたところは団子屋だ。

『ねぇ、土方さんあの人達、何なの?』

「ああ、言ってなかったな。あいつらは新選組。俺らとは全く違った団体だ。」
と土方さんが紙に文字を書き、字が違う事を私に見せる。

「あいつらも俺らもやることは同じだ。攘夷志士を撤廃したりする幕府を護る仕事、な。だけどそれ以外の事件はな。あいつらは裏の仕事、俺らは表の仕事だ。この意味が分かるな。」

うん、と私は頷く。

「だから俺らはあいつらの仕事に手を出しちゃいけねぇ、勿論向こうもだ。だが最近は新選組に良い噂がねぇ。なんたって仕事も裏の仕事だからな、そりゃあ手も染まって行くんだろうよ。....なんかよからぬ研究をしてるって聞いたぜ。」
と土方さんは煙草を吸う。

「...お前はあいつらに特殊な力を見せるな。狙われるぞ。」

『....そんなの狙われたとしても私は大丈夫。』

「いいから見せるな。これは真選組にいるお前への約束、だ。」

『.....。』

土方さんに真面目な顔で言われると頷くことしか出来なかった。
そして団子屋を後にして、大きな犬に出会った。

『え、何これ犬にしちゃデカくね?』

そう言うと犬の頭から可愛い女の子がひょこっと顔を出した。

「こんな所でなにしてるアルか?」

「ああ?おいチャイナ娘。お前『かわいー!!!何この子!アルだって!可愛い!』...。」

なまえは犬にまたがりよじ登りチャイナ服を抱きしめた。

「ぐえっ...」

「おいおいなまえ、その辺にしておけ。いくら怪力でもそれは『ねー!名前なんていうの?!!私はなまえ!友達になろ!』」

「友達アルか?!いいアル!神楽って言うネ!なまえ!」

その後はなかなかチャイナ娘から離れないなまえを引きはがすのが大変だった土方だった。

すると「おーい、神楽!お前散歩....お前!さっきの!!!」

『あ、変態。』

「変態じゃねーよ!お前が腹出してっからっ....あれ、今出してなくね?」

『私、真選組の隊士になったのー。よろしくね、変態。』

「変態じゃねーっつってんだろ!ぎ!ん!と!き!」

「おい、なまえ。けーるぞ。」

『あーい。』

そして神楽にバイバイを言い、その場を去った。

『ね、土方さん。歌舞伎町って面白いところだね。』

「そう思えたんならよかった。」



そしてなまえを用意した部屋に送り、俺は近藤さんの部屋に向かった。

「すっげー喜んでたぜ。」

「それは良かった!ただ...」

「ああ、あいつの妙な力があいつらに渡ったら狙われる。だから俺らの前以外で魔法とやらを使わねーように言ったぜ。」

「うむ、それならいい。変なことに巻き込んだら可哀相だからなぁ...。」

fin


prev next

bkm
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -