Trouble...
私が赤司と初めて出会ったのは大学入学してすぐの時で、気分転換で遊びに行ったLIVEハウスだった。
その時付き合っていた遠距離の彼氏と上手くいっておらず、気分は沈んでいた。


爆音の中、一人で後ろの方からステージを見ていたら、赤い髪の毛の子が、一人?と話しかけてきた。ナンパかと思い、適当に逃げようとしたら、無理矢理腕を引っ張られ、隣の部屋に連れ込まれた。
意外と広い部屋にはビリヤード台が、ぽつんと真ん中に一つ置いてあった。
密室空間に一人、まして向こうの顏がよく見えなかった私は逃げ出そうとしたが、腕を強く握られているため、逃げられなかった。

「暇ならビリヤードやろうよ。」
拍子抜けした。
てっきりヤられるとでも思ってたから。
そして顏をよく見るとかなりの美男子、だ。

『....いいけど、したことない。』

「僕が教えてあげるよ。」



それから少し話をすると、どうやら同じ大学で同じ学部、苗字か名前か分からないが赤司って言うらしい。また、私とは違うサークルだが、彼もバスケサークルに入ってるらしく、共通点が多かったので、仲良くなるには時間がかからなかった。


そしてしばらくして赤司と浮気をした。
彼がいるのは彼も知っていたし、お互い暗黙の了解だった。


赤司はなんでも知っていて、一緒にいると新たな体験が出来るし、好奇心旺盛な私にとって、赤司といる時間は本当に楽しく感じた。
さらには、二人で同棲を初め、大学にも行かずに、赤司の真っ赤なベンツのワゴン車でどこかへ飛び出し、バスケして、飲んで、ヤる、の繰り返し。
また、夜遊びも多くなってタバコも吸い始めた。
こんな生活をしていたら、自分が堕ちていくのが分かった。


そしてとうとう、浮気がバレて、遠距離の彼氏とは別れた。
赤司と付き合い始めてからは、連絡もとっていなかったし、付き合っている関係とは言えなかった。

この頃には赤司は完全に私の一部となっていて、生きていく理由でもあった。
そして初めて赤司に殴られた。
たまたまサークルの男友達と飲みに行ったのが原因だった。
この時は自分が悪いとは思っていたが、どんどん理不尽な理由で赤司の暴力はエスカレートしていった。


久々に大学に行くと、周りの友達は「変わった」「赤司はやめときなよ」と、皆同じことばかり言う。

私は大学にまた、行き始めようとすると、赤司はそれに対して避難してきて、結局また行かない生活が続く。
けれども、赤司から愛されている、のは感じていた。
しかしそれも徐々に崩れて行った。

ある時、赤司は0時になっても帰ってこなかった。
これは初めてだった。いつもは遅くとも、8時に帰ってきてたから。
帰ってきたときは、香水の香りがして、そのままベッドで何も言わずに寝た。
私は次の日の朝に問いただそうとしたが、「なんにもない」の一点張りだった。
そして、赤司の朝帰りは多くなり、また1週間、来ないときもあった。


ついに来なくなって2か月がたった。


私は一人で家にいるのも嫌で、大学に行った。
その時、たまたま赤司の友達の黄瀬くんと会った。
黄瀬くんとは赤司と浮気する前に会って、これが二度目だった。

「あれ、赤司っちの...なまえちゃんッスよね?」

『黄瀬くん、久しぶり。』

「なんか..すごい雰囲気変わったッスね。」
またか。
『そう?』

「最近、赤司っちとはどうなんスか?あの後、付き合い始めたって聞いたんで...」

『うん、普通だよ?』

「そうッスか...。....自分を大切にした方がいいッスよ?」

『....うん。』



私は気づいた。
彼は私の事を愛していないってこと。
彼の心に私なんていないこと。

赤司と出会った時に感じた、違和感、あれってこの事だったんだね。


その後はしっかり学校に行き始め、赤司としたことは全部忘れて、タバコもやめ、充実した学生生活をおくった。
無事に就職にもつき、今では職場で出会った人と付き合い、順調。


会社の飲み会の後に、彼氏と帰り道に信号を歩いていると、見慣れたベンツの真っ赤なワゴンが信号の前に止まっていた。

中に乗っている赤い髪の男の人は、隣に座る女性にキスをしていた。


彼は私の中での悪だった。

(Trouble...)


prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -