「あなたは生涯、夫を愛すことを誓いますか」
『...誓います。』
私は一体どこで道を間違えたのだろう。
ああ、あの時、か。
後悔してもしきれない。
アメリカに絵の勉強をしに留学した時に、私は青峰 大輝と出会った。
彼はNBAのバスケ選手として活躍していた。
私たちは付き合いはじめ、同棲を始めた。
とても楽しい毎日だった。
どんなに二人の時間が合おうとも合わなくても、お互いが、二人の時間をとても大切にしていた。
青峰が20歳になった時にタトゥーをいれ、
私も20歳になった時、タトゥーをいれた。
“Our love will last forever.”
-二人の愛は永遠に。
私たちが一緒に住み始めて、4年。
二人は22歳になった。
私の誕生日の時に、彼は私にプロポーズをした。
“Would you marry me?”
まさかあの大輝が、私にひざまずき、プロポーズをしてくれる、なんて思ってもいなかった。
泣きながら大輝に抱きついた私をなだめるように抱きしめてくれた、あの時の温もりは一生忘れることはないだろう。
しかし、幸せは長く続かなかった。
私は絵を描く楽しさが急に分からなくなり、混乱していた。
また、その頃、大輝はバスケが不調になり、試合に負け続けていた。
大輝のいらついている態度が嫌になり、私も苛立ち、大喧嘩をしてしまった。
その時私は思わず、足元に転がっていたバスケのボールを、思い切り大輝に投げつけた。
大輝もさすがに怒って、ボールだけを手に取り、出て行ってしまった。
私はすぐに帰ってきてくれるだろうと思っていたが、帰ってこなかった。
その翌日、大輝は家から少し離れた公園で、ひどい状態で見つかった。
彼はバスケをしていたら、10人ほどに絡まれ暴行されたらしい。
私が病院に向かった時には、大輝はもう息をしていなかった。さらに、顏も腫れ上がり、大輝だとは思えなかった。
けれども彼の左手には、私とお揃いの指輪が光っていて、嫌でも、大輝、だという事が分かった。
大輝を最初に見つけた人から、伝言を受けた。
「なまえ、ごめん」
の一言だった。
私はその次の日、すぐに日本に戻った。
大輝との思い出が溢れる場所にはいたくなかった。
一人にはなりたくなかった。
私は前ほど笑わなくなった。
日本に帰ってきて3年後、親の計らいでお見合いをし、すぐに結婚することになって今に至る。
今にも残る右腕のタトゥーに痛みとは違う何かを感じる。
私は生まれ変わったらまた、大輝と恋をするの。
そして大輝から二度と離れないよ。
Our love will last forever.
.
prev next
bkm