先ほど、縄で縛られいたのが10分前。
本来ならここで帰りのあいさつをしているはずだった。
しかし、今はバスケ部の前で、自己紹介をしている。
『1-7、みょうじなまえです。』
すると、どこからかパチパチと小さな拍手の音がする。
歓迎されてねーじゃん。やっぱマネージャーいらないじゃん。
(あれが流川の...)
(どんな子かと思いきや美人、じゃん。)
(流川は綺麗系がタイプだったのか...)
と、皆思い思いにふけっていた。
それに流川ときたら寝ている。
一体、誰のせいでこうなった、と思ってんだ。
体育館の入り口からは羨望の目線を浴びせられる。
その中にもハルコさんがいた。
私が不思議だったのは、ハルコさんは何でマネージャーを2年からにしたんだろう。それも流川が日本代表とかでいなくなった時期辺りから。
うーん、乙女心は分からん。
『一応、バスケの経験はあるんで知識はあります。ので、よろしく。』
そして綾子さんから今日の仕事内容を聞き、とりあえずドリンクを作りに行った。
人数も少ない湘北のドリンクを作るのは簡単で、早く仕事が終わりそうだ。
ちなみに私が前にいた高校では、ものすごい強豪の女子バスケ部で、部員も多く、マネージャーの大変さが伺われた。
水道でとりあえずボトルを作りに行った。
今まで、どうやら自分たちでボトルは作っていたらしい。
アヤコさんは知ってのとーり、マネージャーというか副監督ぐらいで、雑用の仕事はしていなかったはずだ。
そして全員分のボトルをベンチの横に置いておくと、感動の言葉を浴びた。
そしてタオルを洗濯し、さらにボールも磨いておいた。
皆が休憩中は暇だ。
皆がドリンクを飲んでいたりするのをただ、傍観するだけ。
する事ないかなーっと体育館を見渡しても、あるのはバスケのコートだけ。
するとミッチーが私に寄ってきた。
「なぁ暇だろ?バスケ、前にやってたんだったらやってみせろよ。」
『えー。』
前にって言ってもだいぶ前、10年以上前だ。
ミッチーは私にボールを投げてきた。
ふーむ、
私はフリースローラインに立ち、ボールを投げると、綺麗に決まった。
「え、お前ポジションどこだったの?」
『ミッチーと同じだよ。』
「まじかよ!」
私はさらに距離を離れ、センターラインに立ってボールを投げるとこれまた決まる。
「お前っ...すっげーな。」
『いっぱい練習したからね、ちなみにダンクも出来て、ね。』
私はセンターラインから思いっきり助走をつけ、ダンクをかました。
強豪なバスケ部で5人の中に選ばれる為に、一生懸命練習をこなした。
また、私は身長が170センチと高め。
それでもなかなかダンクは難しいが、小さい頃磨き上げたジャンプ力で、ダンクが出来るようになった。
すると拍手が沸き起こった。
「お前っ、すっげーな!」
「湘北に女バスあったら完全にお前、エースだろ!」
ギャラリーからも歓声が聞こえた。
あ、目立ちすぎた。
「俺と勝負しろ、」
と、花道がズイッとやってきた。
『いーよ、今の花道になら勝てる気がする。』
髪を切る前の花道になら余裕だ。確か、ダンクしかできなかった気がする。
そして5分後ー。
「まじで天才だな、お前。」
『天才じゃないよ、努力、しただけ。』
fin