部活動見学
あー、帰宅部希望だったのに。

なのに何で私は今、体育館の中央で、イスに座っているのだろう。しかも縄付きで。
理由は「アンタ、絶対逃げるじゃない。」でした。
よく分かってるじゃないの。

メガネくんとゴリはウォームアップをしながら、私を申し訳なさそうに見ている。

ちなみに花道と流川と三井と宮城はまだ現れていない。
どうやら、何かやらかしてカーネルおじさんの命令で外周させられているらしい。

相変わらず問題児たちだなー。
そして気づいた。隣にカーネルおじさんがいたことに。

「こんにちは。」

『...こんにちは。安西先生、でしたっけ?』

「そうです。..みょうじさん、バスケットは好きかね?」

あれ、何このハルコさんと花道のやりとりみたいな。
ここは嫌いって言わなきゃこのままマネージャーになってしまう。

『きらいで「ん?」...めちゃめちゃ好きですなんですよねーっ。』
こわ!カーネルこわっ!今、後ろに何か見えた!


すると体育館の入り口から問題児たちが現れた。
おそらく流川がいるのだろう、キャーっという歓声が聞こえた。

「ちーっす。」

「あー疲れた。ったくどっかの1年のせいで...。」

「何おう!ミッチーだってさっき、俺様の「ギャーギャーうるさい。」」

「おい!流川、もっと俺たち先輩を敬えよ!」

ああ、なんかすごくうるさい。

「あっ、安西先生!おはようございますっ。....ってみょうじ?どーしてこんな所にいんだ。」

『私にも分からない。』

「しかもお前、何で縄にくくられてんだ?」

『花道ー、頼むからこの縄といてくれない?』

「花道っ!ろくなことしなくていいから、さっさと準備しなさい。」とアヤコさん。

流川と目があったが、私はすぐに視線を逸らした。
これ以上、意味の分からない噂を立てられるのは御免だ。

「なぁ、お前ルール分かってるのか?」と宮城は足にテーピングをしながら話しかけてきた。

『...ある程度は。』

嘘である。
実は前世の中学時代と高校時代は、これまた女子バスケ部に所属していたのだ。
ルールはバッチリ、だ。

「俺はお前がマネージャーになるのは反対だ。...彼女がいたら流川だってまともなプレーできないんじゃねーか。」

『それはないよ、リョーちん。あの男はどんな立場に居ても、思い切ったプレーをするだろう。それに私は彼女じゃない。さらに私はマネージャーになりたくないと何度言ったら分かるんだこのチビ。』

「な?!お前、さっきから俺に対してひどくねーか?!」

『通常運転です。』

二人の会話を横で聞いてたカーネルおじさんがホッホッホ、と笑ってやがるが、笑いごとじゃないんですよ。

「っち、気が散って上手くテーピング巻けねーじゃねーか。」

ああ、それは私もさっきから気になっていた。
しょーがない、やってやるか。
私はリョータからテーピングを奪い、テキパキと手を動かした。

「...お前。」

『はい。出来た。これぐらいちゃんと出来るようになれよー。』

「...お、おう。」

「みょうじさん、やっぱりマネージャーをやってくれませんかね?」

『だが断る。』これ何度目。

「なぁ、何でそんなに嫌なんだ。」

『面倒くさいからに決まってるじゃん。』

「....決定です。君はもう今日から湘北バスケ部のマネージャーです。」

『は?!カーネル!まじで何言ってんの!ちょ、どこ行くんだよ!』

カーネルは私とリョータを置いて、赤木とアヤコさんの所に行き、何やら話している。
そしてアヤコはにまぁっと笑っている。


ああ、どうやら私はマネージャーになったらしい。

fin


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