電車の真緒くん


毎朝同じ時間、同じ車両に乗る他校の男の子。あの制服は夢ノ咲。前髪をピンで留めててブレザーの中にパーカーを着てるお洒落な子。ひっそりと想いを寄せる名前も知らない彼。たまに目が合うのは、私がずっと彼を見つめているせいだろう。明日もこの時間、彼を見つめられる。

「寝坊した!!」
猛ダッシュで駅まで走る。本気で急いでいると少女漫画のように食パンなんて咥えて出掛ける余裕はない。改札を抜けてホームへ飛び込むと、ちょうどドアが閉まったところだった。あーあ…今朝は彼に会えなかった。今日は良いことなさそう。降車した人混みが背を向けた改札に向かって流れてくる。その隙間から見えたピンとパーカー。
「うそ…」
「あ、いや、走ってくるとこ見えたから…。って違うごめん、俺何やってんだ…」
電車の彼は「名前教えてくれよ」と顔を赤くしながら頭を掻いた。


毎朝時間合わせて乗ってるのはお互い様。ここから超シャイ同士の恋愛が始まって欲しい。



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