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すべてのはじまり

某日。

「甲斐クン、部員分のタオルが準備されてないじゃないですか」
「ちょっと待ってろって!なま準備するから!」
「遅いですよ。知念クン、今回の練習試合結果が部誌に記入されてないじゃないですか」
「…自分の試合が終わったばっかりやっさー、なまから書くー」
「なら早くしてくださいよ。…平古場クン、今度練習試合する他校の偵察は済んでいるんですか」
「あ、あー…今度行くって今度」
「今度っていつですか。そう言ってもう1週間経ちますよ」
「…つーかよー!なんでこんなにりーくとぅ(めんどくさい事)わったーがしねーといけねーんだよ!?」
「何怒ってるんですか。仕方がないでしょう、我が部にはマネージャーという名の雑用係がいないんですから」
「「「(雑用係…)」」」
「…なんでマネージャー取らないんばぁ?木手…。タオルの準備とか、ただでさえ練習で大変だってのにやってられねーって」
「相応しい人が居ないんですよ。マネージャーという肩書きを持つからには文句の1つも言わずに仕事をしてくれる人が良いんですよ
「…そんな奴いねーだろ…」
「……最近、練習もハードになってきた事だし…主将、少しマネ取るくとぅ考えてみたらどうなんばぁ?」
「そんな条件出してたら一生マネージャー出来ねーらん…」
「…仕方無いですね、少し検討してみますか」





あれから数日経った海岸荒行の時。

「………ハァ……あー…ったく」

前みたいに準備をまともに出来てなかったら、永四郎がキレ出した。
只でさえ人当り悪いっつーのに、いつも以上にわったーの扱いが悪くなられても困るってーの。
監督にも負けねースパルタ練習言いつけ始めたから抜け出してきてやった。
ま、見つかった後が面倒だけどなまが良ければそれで良いんやっし。

…さっさとマネージャー取ればいいのにな。
そうしてくれればわったーがやってるにりー(面倒)な仕事もなくなるだろうし。
今度同じクラスのヤツにでも声掛けてみるか…。

「……お」

気付いたら学校の前まで来てた。
無意識って怖えーな。

「………ん?」

見ると、1人のいなぐ(女)が門の所で座り込んでた。

「沖縄の海……きっれ―だろうなあ……」

誰かに話しかける訳でもなく、ぬーがらあびて(何か言って)やがる。
ぬーがあぬひゃー(何だあいつ)…頭大丈夫か?

…つーか。
マネージャー、あぬひゃーでも良いんじゃねーか?
今更、文句言わねーとか関係ねーらん。
ここで会ったのも何かの縁かも知れねーし。

よし、決めた。
あいつにマネージャーなって貰うか。





「海…見た―いな―…」

「やー、海見たくとぅないんだばぁ?」


…このたった一言で、これからのわったーの日常が変わるとは思ってもいなかった。



すべてのはじまり
(君との出会いは)
(果たして偶然か必然か)


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