すべてのはじまり某日。
「甲斐クン、部員分のタオルが準備されてないじゃないですか」
「ちょっと待ってろって!なま準備するから!」
「遅いですよ。知念クン、今回の練習試合結果が部誌に記入されてないじゃないですか」
「…自分の試合が終わったばっかりやっさー、なまから書くー」
「なら早くしてくださいよ。…平古場クン、今度練習試合する他校の偵察は済んでいるんですか」
「あ、あー…今度行くって今度」
「今度っていつですか。そう言ってもう1週間経ちますよ」
「…つーかよー!なんでこんなにりーくとぅ(めんどくさい事)わったーがしねーといけねーんだよ!?」
「何怒ってるんですか。仕方がないでしょう、我が部にはマネージャーという名の
雑用係がいないんですから」
「「「(雑用係…)」」」
「…なんでマネージャー取らないんばぁ?木手…。タオルの準備とか、ただでさえ練習で大変だってのにやってられねーって」
「相応しい人が居ないんですよ。マネージャーという肩書きを持つからには
文句の1つも言わずに仕事をしてくれる人が良いんですよ」
「…そんな奴いねーだろ…」
「……最近、練習もハードになってきた事だし…主将、少しマネ取るくとぅ考えてみたらどうなんばぁ?」
「そんな条件出してたら一生マネージャー出来ねーらん…」
「…仕方無いですね、少し検討してみますか」
☆
あれから数日経った海岸荒行の時。
「………ハァ……あー…ったく」
前みたいに準備をまともに出来てなかったら、永四郎がキレ出した。
只でさえ人当り悪いっつーのに、いつも以上にわったーの扱いが悪くなられても困るってーの。
監督にも負けねースパルタ練習言いつけ始めたから抜け出してきてやった。
ま、見つかった後が面倒だけどなまが良ければそれで良いんやっし。
…さっさとマネージャー取ればいいのにな。
そうしてくれればわったーがやってるにりー(面倒)な仕事もなくなるだろうし。
今度同じクラスのヤツにでも声掛けてみるか…。
「……お」
気付いたら学校の前まで来てた。
無意識って怖えーな。
「………ん?」
見ると、1人のいなぐ(女)が門の所で座り込んでた。
「沖縄の海……きっれ―だろうなあ……」
誰かに話しかける訳でもなく、ぬーがらあびて(何か言って)やがる。
ぬーがあぬひゃー(何だあいつ)…頭大丈夫か?
…つーか。
マネージャー、あぬひゃーでも良いんじゃねーか?
今更、文句言わねーとか関係ねーらん。
ここで会ったのも何かの縁かも知れねーし。
よし、決めた。
あいつにマネージャーなって貰うか。
「海…見た―いな―…」
「やー、海見たくとぅないんだばぁ?」
…このたった一言で、これからのわったーの日常が変わるとは思ってもいなかった。
すべてのはじまり(君との出会いは)
(果たして偶然か必然か)