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練習試合(VS氷帝)1

さて、今日は前々から木手くんが言っていた練習試合があるらしい。
どうやら相手校はわざわざ本土の方から来るとの事。
すげぇな、たかが練習試合で。
旅行に来たついでに来るのかな。

「ねえ木手くん、今日ってどこの学校が来るの?」

オーダー用紙っぽいものを見てる木手くんに聞いてみる。

「東京にある氷帝学園という所です」
「東京?そんな所から来てる人たちと練習試合するんだ…やっぱ旅行とかでこっち来たついでみたいな感じで?」
「いえ。わざわざ練習試合をする為にこちらに来るそうです」
「げっ、まじかい」

練習試合のためだけって、どんだけなんだ。
金持ちか!
はんぱないな!

「氷帝学園といえば相当の資金がある学校ですからね。特にテニス部部長とその監督が財閥の方らしいので、こんな理不尽な事でも出来るんですよ」
「うわっ、まじで?財閥ってすげぇ!なら自家用ジェットとか使っちゃうパターン?うわー、見てみたい!」
「おかしなところで喜んでいないで、マネージャーとしての仕事をしてくださいよ。ただでさえ大した働きはしないんですから」

きっぱりはっきり言われた。
くそー。

「ちぇ、分かってますよ。役に立たないなりに頑張りますし」
「まったくですね」

謙遜して言ったのにフォローしてくれない。
そこは「そんな事ないですよ。貴女は役に立っていますよ」とか言ってくれるべきだろう。
まあ木手くんがそんな事言うはずないけどね!

「おーい永四郎!氷帝の奴ら来たんどー!」

平古場くんが呼びに来た。
おお、来たのか。
やっべ準備なんもしてない。

「分かりました。ほら、ぐずぐずしていないで行きますよ」

ゲシッ

「あだっ!わ、分かった分かったよ」

何も蹴らなくてもいいじゃないか。
…まあいいか。そのひょーてい学園とやらも気になるし!
金持ちとか気になるしね!




コートの方に行くと、見慣れないジャージの人達が8人くらい立っていた。
あれが金持ちが居る「ひょーてい学園」とかいうとこのテニス部かぁ。

「お待たせしました。わざわざ沖縄までようこそ、氷帝学園の皆さん」
「フン、我が跡部財閥のプライベートジェットに掛かればこれくらい造作もねぇ事だ」

1番前に居た、いっちばん偉ぶっている人が木手くんに返事をした。
こうして真っ先に答えるって事はあの人が部長さんなのかな。
まあどうでもいいけど。

「何が造作もねぇ、だよ。いきなり集められたと思ったら飛行機ぶち込まれて沖縄って…聞いてねぇぞ」
「くそくそっ!今日休みだって言ってたじゃねーか!」

青い帽子かぶった人とおかっぱの人が文句を垂れてた。

「えっ、この練習試合そんな急遽取り決められたものなの?」
「違うだろー。前から永四郎からあびられてただろ、試合あるって」
「あぁ、そーだったっけ…」

うちが聞いたのは結構急だったんだけどね。
というか、練習試合で東京から沖縄に行くっていうのにその日に告げられるってありなのか。
これだから金持ちの思考は分からん!

「別にいいじゃねえか、帰ろうと思えば直ぐ帰れるんだからな」
「…その考え方が理解出来ないんですよ」
「まあ、跡部は元からこういう奴やからな…」

キノコみたいな髪した人と眼鏡かけた人が言った。
取り敢えず、あの部長さんは跡部くんと言うらしい。
で、金持ちで一般の常識を持ち合わせてないようだ。

「無駄話はそれ位にしておいてくださいよ。時間は限られているんですからね」

木手くんが多少苛立ったように言った。

「それもそうだな。こっちのオーダーは既に決まっている。そっちはどうなんだ」

跡部くんがオーダー用紙を木手くんに渡す。

「こちらも決まっていますよ。では時間が惜しいですからさっさと始めますか。そちら側のベンチは好きに使って構いませんので」
「ああ」

木手くんに促されて、ひょーてい学園の人達はそれぞれベンチ側に行った。

「…」
「何ぼさっとしてるんですか。スコアをまとめて貰うんですから氷帝側のオーダーもちゃんと書いておいて貰わないと困るんですが」
「えっ、あ、ごめん。……てか、今から何するの?」
「馬鹿ですか。練習試合に決まってるじゃないですか。馬鹿ですか

2回言われた。

「そ、それは知ってるから!し、試合って言っても色々あるじゃん、トーナメントとか総当たりとかさぁ」
「今日は団体戦ですよ。氷帝の方々は日帰りで沖縄に来て貰っているんですから、それほど時間がある訳じゃないんです」
「団体戦…ふーん」
「別に団体だろーが個人だろーが神矢には関係ねーらん。どっちにしろ大して仕事出来ねーんだからよ」

平古場くんが馬鹿にしたように言ってきやがった。
もうほんと、なんでこいつらは揃いも揃ってうちを馬鹿にするかなぁ!
馬鹿ですけど!

「それより平古場クン、キミは初めに試合なんですから早く準備をしてコートに入って下さいよ。相手を待たせるなんて許しませんよ」
「へいへい」
「……」
「キミもぼんやりしていないで、スコア取ったらどうですか」
「…え?…スコア…」

取った事ないんですけど。

「………ああそうでしたね。まだ大して仕事出来ないんでしたね。役立たずが……

うぉぉーい!
木手このやろう!
役立たずって聞こえたぞ!
本人目の前にしていうなチクショウめ!

「…まあ今日はレギュラー以外は試合に出しませんから部員に任せればいいですが…いい加減、仕事を覚えてくださいよ。マネージャーなんですから」
「……おぉ」

馬鹿にされたら「ちくしょう、やって見返してやる!」と思って頑張るとでも思ったのか?
残念!
うちは馬鹿にされたら余計にやる気をなくすタイプだからな!
どんまい木手くん☆

ガシッ

覚 え て 下 さ い よ ?

頭を掴まれ、超至近距離でドスの利いた声で凄まれた。

「ど……努力…シマス……」

一瞬、死を覚悟しました。



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