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  これアカンやつや


忍たま乱太郎。
私が今ハマりにハマっているアニメだ。
特に誰が好きということはない。
何故なら皆(特に一年から四年が)エンジェルだから!
この荒んだ世の中でただただ癒しのエンジェルばっかり!
アニメを見てほくほくしている毎日である。

漫画好きアニメ好きそして夢小説が好きとだいぶオタク道に走っている私。
けれど決して忍たまの世界に行きたいという訳じゃないし、むしろ行きたくはない。
なぜって、そりゃあもしもトリップして忍たま世界に入ったとして、なんと呼ばれる?
そりゃあ「天女様」でしょう。
よくある「空から降ってきた」というトリップ状況から「天女」なんて言われ、逆ハー補正付けられてみんなにチヤホヤされるなんてよく見る設定だ。
しかしその行きつく先は只一つ、「死」である。
上級生を誑かした!って下級生に殺されたり、下級生を誑かした!って上級生に殺されたり。
死に方は様々だけどトリップしたら良くない未来が待っているのは断言できる。
だからトリップなんてしたくはない。
ま、トリップするなんてありえないからそんな思い詰めて考えるほどじゃないけどね。

…と、思っていたのに。




ざっばぁぁ!


ぶえあっはぁぁっ!?
「「「うわあぁぁっ!?」」」

突然の出来事に、脳が現実についていけなかった。

なに、何が起きたんだ!?
水!!?
なんか全身冷たいし、うわっ、何か鼻ツーンとする!

「うげっ、げほっがはっ!おえぇっ!」

一度咽ると止まらなくなり、えっやばくね?吐くんじゃね?って勢いで咽る。
手を伸ばすと地面らしきところに手が届き、そこまで必死に進み突っ伏して咽る。

「おぇぇえ、吐く…吐ぐ…げっほげほげほ!」

お、落着け。落ち着くんだ自分!
深呼吸や!深呼吸しろ自分!

「…はぁ…はぁ、へええぇ…」

何度も何度も深呼吸し息が落ち着き始めた。
最後に大きく息を吐く。

「…な、なんだ…何なんだ…?」

やっと頭が正常に戻り始め辺りを見渡すが、まったく見覚えのない所だった。
そして改めて自分の姿を見て驚く。
なんか体半分水に浸かってるんですが。
しかも風呂とかそう人工物な所じゃない。
周りは草木が生い茂ってるし、鬱蒼として暗い。
池…?か?
どこかの森?の中にあるため池?のような所だ。

しかも浸かっているは下半身だけど気付けば全身びっしょ濡れ。
鼻に水が入って咽たんだから全身水に浸かっていたに違いない。
でもなんで!?
なんでこんな森みたいな所にいるの!?
私、今日何したっけ!?

必死に今日、自分がしていた行動を思い返す。
確かいつもと変わらず仕事から帰って来て、ご飯食べて、録画した忍たま見ようとしてたんだけど…。

……?

あれ、そっから記憶ないぞ?
着てる服見るけど、仕事帰りのラフな恰好(Tシャツにジーパン)のまんま。
だから仕事行ったのは間違いないと思うのだけれど。

あれ、家に帰ったと思いきやどこぞの森に迷い込んだ?
えっ、なんだこれ?

ようやく焦りが出て来て辺りを見渡すが、やっぱり知らない所。
暗いから夜なのだろうか。
焦りから恐怖に変わりつつある。
じわじわと今置かれている状況が頭に入ってきて、怖くなる。

「なにこれ、怖っ…!」

と、とにかくいつまでもここにいる訳にはいかない。
少なくとも森?から出れば人がいるスペースに出れるはず。
ざばぁ、と水音を立てつつから這い出る。

うわっ、さぶっ!

空気は冷たくないけど、全身ずぶ濡れだから吹く風に当たるとそれはもう寒い。
風邪引かなきゃいいけど…。

ぶるっと一震えしてから改めて自分の恰好を見下ろす。
着慣れたTシャツとジーパン、そして手ぶら。
もしかしたら池の中に鞄とかあるかも…と思いつつもこんな暗い中で見つけるのは難しそうだ。
鞄には常日頃スマホとか財布とか、池ポチャしたら大変困るものばっかり入れている。
…鞄は違うところにあることを願おう…と考えていたら、ふと横に誰かが居た事に気付く。

「ぅおっ」

驚いて声出してしまった。

ていうか人居たの!?
そういえばさっき水から飛び出した時、私以外の叫び声が聞こえた気が…しないこともない。
まさか私の行動全部見られてた!?
き、気付かなかった!はずっ!

「い、いやー…ははー…どうもー…」

アナタたちの目の前で起きたことは気のせいですよー、何も聞かないでくださーいと言わんばかりに取り繕った笑いを浮かべる。

…あ、ていうか人!人だ!
助かった…!なんて思って改めてそこに居た人を見やる。

「…ヒェッ」

…あまりの出来事に、呼吸が上手く出来ずおかしな音が喉から出た。

目の前には3人の小さな男の子。

メガネをかけた子と、スカーフ巻いてる子と、ちょっとぽっちゃりした子。

そしてその格好は、青色の忍び装束に白い井桁模様。


見たことあるよね、むしろ毎日画面越しに見てたよね。


どう見ても一年は組のエンジェル、乱太郎きり丸しんベヱですありがとうございました。



「(…え、うそやん、なにこれ?)」



…と、トリップ…とかいうやつですか?
トリップとかいうやつですか?(大事なことは二回言う)
トリップだったら、見知らぬ土地にいるのも分かるけど…。
えっ、マジで?
マジでここ室町ですか?

「…」
「「「…」」」
「…(汗)」

互いに微動だに出来ず嫌な空気が流れる。

ど、どうしよう?
夢小説読んでるとまさしく他人事だったのに、まさか自分にこんなことが降り掛かってこようとは…!!

いつの間にか見知らぬ地。
そして乱太郎きり丸しんベヱが目の前にいる。
つまり、忍たまの世界へトリップ。

安易な考えだけど、それしか思い当たらない。
なんで飛んできちゃったのか、なんで水の中から出てきちゃったのかはよく分からないけど。

…それより…トリップしたってことは、やばくない?
私の格好はどう見てもこの時代のものじゃない。
この時代の南蛮物とも違う。

水から出たにしろ、私はあの「天女様」とおんなじ類なんじゃなかろうか?

い、いやいや!もしかしたらまだ天女の存在が知られてない世界かもしれない!
「わー知らないおねーさん!へいせい?そんな世界から来たんだー!すごーい色々なこと教えてくださーい!」くらいのテンションもあるかもしれない!
それだったら死なないでむしろ逆ハーハッピーライフを送れるかもしれない!
王道夢小説設定ktkr!!

私が一言も発せず頭の中で目まぐるしく思考を巡らせていると…目をまん丸くさせている3人が…ふと我に返ったようで、表情が揃って怯えるようなものに変わった。

あ、これあかんヤツや。

直感でそう思った。
そして、3人が震えた声でそれぞれ口を開く。

「そ…その、格好…」
「ま、まさか…」
「また…天女様…?」


ジ・エンドオブ私。
なんだろう…全身ずぶ濡れだからだけじゃない、強烈な悪寒が走る。

平成の世に居るお父さん、お母さん。
私、室町の世で死ぬ気がします。




つづく