Krk | ナノ


復讐



何が起こったなんて頭で理解したくもなかった。ただただ、痛みに耐えて、粘膜のこすれる音や、クチュクチュと厭らしく響く水音を聞かないように必死で意識を別の方向へと飛ばしていた。




「おい、他の事考えんなよ?今お前とヤッってんのは大輝じゃねぇー、祥吾だ。オラ、名前呼べよ」



「っ、んっ、しょー…ごっ、くっ、も…やめっ」



「うるせーっ!!」



「いっ、やぁぁっ」



気持ちよくもなんともないのに、祥吾君は奥ばかりを攻め立てる。おかげで生理的に濡れ始めたソコは身体だけ祥吾君を嬉しそうに飲み込んだ。私の心は無視して。











なんでこんなことに、何がいけなかったのか…考えても理解なんかできない。だって、普通に学校に行ってただけだ。


今日だって、バスケ部のマネージャー業をこなして、WCの決勝が近いからって真ちゃんと高尾君の自主練に付き合って遅くはなったけど、こんな時間に帰るのはいつもの事。

あぁ、そうだ、帰りにたまたま彼を…祥吾君を見つけたんだ。中学が一緒で、何度か同じクラスになったことのある彼。彼氏である大輝のバスケを覗きに行くといつもだるそうにバスケをしてた。その時はまだ、私はマネージャーはしてなかった。けど、なんでか良く声をかけられたっけ?

だから、つい懐かしくて今度は私から声をかけたんだ。それが…いけなかったのかな。






「おい、泣いても止めねぇーけど?つーか、お前ん中マジせめぇーな、大輝としょっちゅうやってんだろ?そのわりには締まりいいのな」



「んっ、やっ、……なんで、こんな、ことっ。どーっしてっ、」



「は?、んなの決まってんだろ?お前が大輝の女だからだよ」



「ァっ――っ!!」




ぐちゃ、と音がして最奥を突きあげられる。友達は最初は痛いけど、気持ちよくなるよ!って言ってたのに…全然違う。痛みしかない。心も体も…すごくいた。



祥吾君は私が大輝の女だからと言った。じゃぁ、大輝に恨みがあるって事?……そう言えば、WCで祥吾君に会ったって言ってた……。その時になにかあったの?でも、大輝は何も言ってなかった……

けど、そんなこと考えても後の祭りだ。



今はただただ、揺さぶられる体から意識をはがし、早く終われと願うばかりだ。





「一回、出すぞっ!……漏らすなよ?」



「っん、やぁっ、なに、いって…」



漏らすな……一瞬、何を?と思った。気持ち良すぎておもらしは聞いたことはあるけれど、今の私はそんな雰囲気は一切ない。なら、考えられる答えは一つ。




「やっ!待って!!中はっ!やめっ…あぁーーーっ!!」




「もう、おせーよ。」




私の言葉より先にドクリと中で祥吾君のソレが波打つ。同時に温かい感触が広がりあふれたソレは、彼が自身を引き抜くと同時にドロリと太ももを伝った。




「っ…ひどぃ…っ」



「あーあ、漏らすなって言ったのによ。勿体ねぇー」



「……ッ…ふっ…」



気づけば涙があふれてて、安っぽいシーツにシミを作った。



「は?お前……まさかとは思うけど…処女?」



「っ!!」



祥吾君の言葉にしゃくりあげていた口元を紡ぐ。嫌だ、気づかれたくなかった。大輝が大事にしてくれていたのに、それを祥吾君に奪われたなんて。しかも、彼を恨んでいる相手だ。さぞ嬉しい事だろう。





「へぇー…あの大輝がねぇー。はっ、滑稽だな。」




そう言うなり、また私の手首を掴むとベットへと投げ、すぐに覆いかぶさる。驚きと、恐怖が再び私を支配し、一瞬で涙が止まった。目があった祥吾君は狂気じみた笑顔で楽しそうに笑うと私の頬を軽くビンタする。




「オラ、もう一発やってやる。だから、嫌がれよ、その方が興奮すんだろ?」



「っ……やぁっ――!」



絶対、泣くもんか!祥吾君の思い通りなんて絶対しない!!と心では理解しても、涙はまた流れた。そればかりか、嫌がる声すら、再び突き上げられたソレにあっけなく悲鳴を漏らした。




グチャグチャ、パンパンと厭らしい音に混じり、私の嗚咽とかすかな抵抗の声が室内にこだまする。しばらくして、腰の動きが止まったと同時にピッピッと機械音がして固くつぶっていた目を開けた。





「祥吾、くん、っ、何して、のっ」




「あ?見りゃ分かんだろ電話だよ」




「っ、だ、れに」




嫌な予感が頭をよぎる。なのに、彼の下からは逃れられない。恐怖と不安で壊れそうな心を必死で保っていたのに…祥吾君の口から発せられた名前に私の精神はボロボロと苦連れ始めた。





「よぉ、大輝。あん時はどーも」



「あ?…何の用だよ灰崎」



「いや、俺は別に用はねぇーけどな」



スピーカーから聞こえてきた声にビクリと身体を震えさせれば、祥吾君がニヤリと笑った。



「愛実が…用事あるんじゃないかと思ってよー」



そう言って受話器を私の方へと向ける。なんでそんな事!用事なんてない…早く、切って…




「やっ、大輝、電話切って!!」



「切んなよ、これからいいとこだ…」



「やぁっ!」


そう言うなり、祥吾君は腰の動きを再開させる。私は小さく悲鳴を揚げ、必死で声を抑えるが、どうしても痛みで漏れ出す声




「おい、愛実?お前、そこでなにして…」



「んっ、あっ、やぁっ、」



「ほら、もっと声出せ、もっと啼け」



「愛実!?!…おぃ!…愛実……っ!!」




心配そうに名前を呼んでいた大輝の声は次第に小さくなる。事の次第を悟ったのか、受話器越しで何かを殴り飛ばした音がした。それから、大輝の声は聞こえなくなり、祥吾君の「あぁ、出る」と言う声とともにまた熱い感覚が下腹部を襲った。





それからの記憶はあいまいで、携帯を持ってベットからいなくなった祥吾君の後姿に、だんだんと疲労感から睡魔が遅い、そのまま眠りについた。


























――――――――――――






「おい、起きろ。」




ぼーっとする視界に飛び込んできたのはやっぱり祥吾君で、ゆっくりと起き上がった際に痛む下腹部がさっきまでの事が夢ではないと教えてくれる。残酷な現実だった。





「シャワーも浴びたし、俺は出る。お前もシャワー浴びたらとっとと出ろよ、あと一時間だ。じゃぁーな」




寝起きでまくしたてられ、あんな酷い事をされたのに拍子抜けするくらい普通な彼に何も言えずに、よく意味も分からず彼の背中を見送った。




「私も…出なきゃ」




そう思い立ち上がったが、その瞬間ドロリと流れ出た感触に一気に眠気が覚め、悪夢がよみがえる。それと同時にその場に崩れ落ちて声を挙げて泣いた。


大輝にどんな顔して会えばいい?

いや、もしかしなくても

私はもう

彼に会う資格はない

溢れでる涙を惜しげもなく床へと落とした。
← | 
back