Krk | ナノ






私の彼は一応有名人である。

だから、普通に…そう言うものを外で買ってるといろいろまずいんじゃ……と考えた。




すごくすごく気になる。



もし、それで、今、涼太が一生懸命頑張ってるモデルのお仕事が減ったらどうしよう!今ばれなくても……この先、スクープとかされて、嫌な思いしたら……




心配ばかりが頭をよぎり、授業にも部活にも身が入らないで、私は一日を過ごしてしまった。






「愛実っち?一緒に帰ろうッス!」




「あ、涼太。待っててくれたんだね。ありがとう」




マネジャーの更衣室から出てみればあたりはもう暗くなっていて、先に終わって帰っていると思っていた涼太が私を待っていてくれた。




「何言ってんッスか、こんな暗い中、可愛い彼女を独りで帰せないっす!」



「わぁーん。涼太好きっ!!大好きっ!」



「俺もっすーー!!」



あまりの嬉しさにさっきの悩みはどこへやら。私は涼太にギュッと抱きつくと涼太の大きな腕が私の身体に回り涼太によって更に密着する。



それを傍で見ていた青峰君と黒子君はいつもの光景にため息を吐いた。


って、いつからいたの?



「なんだかわかりませんが、黄瀬君うざいです。」



「え?俺だけ?」



「ったく、暑苦しーぞ黄瀬。つーか、リア充マジ爆発しろよ」



「青峰っちひどい!!」



「りょ、涼太……とりあえず、帰ろう。青峰君、黒子君また来週ね」



「おう、じゃーな。」「はい。また」



何か言いたげな涼太を引っ張り、二人に挨拶をすると校門を出た。



「3人で残ってたんだね?」


「うん、いつものメンバーッスよー。あ、愛実っち明日遊びに来るならそのまま俺んち来ないッスか?」



「え?」




それって、つまり、お、お泊り?


ってことはもしかしたら……




「嫌ッスか?」



「いっ、嫌じゃない!むしろ…嬉しい。」



「じゃぁ、決まりっす!そうと決まれば……ちょっと寄るとこあるんでいいっスか?」



「え?寄るところ?」





首をかしげながらも、彼に手を握られ連れてこられたのはチョットおしゃれな雑貨屋さん。






「文房具でも…買うの?」



「いや、もっと大事なものッス!」




何だろうと言う疑問は、店内に入って何となく解決した。

並んでいる商品がちょっとしたコスメや普通の雑貨から奥に行けばいくほど怪しい香水だの、セクシーな下着だのになっていく。


見た感じ雑貨屋は雑貨屋さんだけど、アダルトショップまではいかないちょっと大人な雑貨屋さんだ。





「あ、あのっ、涼太?」



少し不安になり彼に恐る恐る声をかける。


すると、涼太が真剣な顔でこちらを見た。つないだ手は少し力が入っているのがわかって、無意識に背筋が伸びる





「俺、今日。愛実の事抱きたいと思ってる。」




「はっ、はい」




涼太のいつもより低い声にドキッとした。思わずでた言葉はまるで授業参観で急に指名された時のような上ずった返事で。




「愛実か嫌なら、まだ待つ」




「……」




「けど、もしいいのなら、コレ一緒に選んでほしいッス!」



そう言って指さした所には色とりどりのアレがあった。



「え?わぁ!なにこれ……可愛い!」



けれど、私が想像していた、箱に入って「0・03」などや「うすーい」とかいう直球な言葉の入った無機質な商品ではなく。

女の子が喜ぶラッピングがされ、一見中身が何か素敵なものと勘違いしそうな商品ばかりだ。




「愛実が、少しでもそういう事に恐怖を抱かないようにと…思って。モデルの先輩に相談したら教えてくれたんっス」



涼太……


そんなに、いろいろ思ってくれてたんだね。





「いいよ。」




「え?」



「いっしょに選ぼう!!」




そう言えば、涼太は店内だからと控えめにガッツポーズをした。


それから、商品に向き直り、「コレとかかわいい」「こっちも」と嬉しそうに選びはいじめた。



「涼太の……おすすめとか、あったら…教えて欲しい。やっぱりよく、わかんなくて……」



「もちろん!コレとか、面白いっす、見た目も……香りも楽しめるっすよ!」



そう言って手にポンとおかれたのは、まるでペロペロキャンディーのような見た目だ。


「これ、も、そうなの?てか……香りもあるんだね」


「そうッスよー。気に入った?」


「うん。これにする。」



ちょっと恥ずかしかったけど、なんだか可愛い見た目にほだされて無事に選ぶ事が出来た。


「了解。ちょっと買ってくるッスね。」


そう言っていなくなった。てか、モデルの人はこう言う外から分かりづらい所で買うんだね………


しばらく、店内を見ていると会計を済ませた亮太が帰って来る。手には可愛い袋を持って



「じゃぁ、帰ろうか」


あ、袋まで可愛い!


「う、うん」






緊張気味に返事をすれば、「ホント可愛すぎて家まで持たないっスー!!!」と言われたけれど、そこは何とか持ちこたえてもらった。



え?家まで持たなかったらどうする気だったの?



と言う疑問は心の中だけにしておこう。







END



余談



黄瀬君はなんかわからんけど、好きになった子には真剣に大事にしそう。と言う黄瀬の株上昇中の管理人の偏見。読んでいただき恐縮です。
 | 
back