04
晴矢だけが頼りにできる存在だったあの頃。
晴矢より、玲名達と話をすることが多くなった今。
少しずつ変わってきちゃってるって、意識してる。
でも晴矢は、変わらず私に優しかった。
そんな晴矢に、どうすればいいのかわからなくなって、瞳子姉さんに相談してみようかとも思ったけど、姉さんは最近忙しいみたいで話しづらかった。
そんな時、お父さんが久しぶりに帰ってきた。
ちょっと、お父さんに相談してみようかな。そう思って私はお父さんに駆け寄った。
そんなお父さんが、口にした言葉。
「みんなにサッカーで地球征服をしてもらいます」
思いもしなかったその言葉に、うるさかった広間がさらにざわついた。だけど、私達が小さい頃から好きで、毎日していたサッカーで征服なんてできるわけないってみんな思ってて、大して本気にせずにいた。
「今度、サッカーチームをつくります」
「え、それって、」
お父さんは本気の顔をしてた。このチームというのは、絶対に侵略のためのものだ。
「チーム編成は、実力でしますのでそのつもりでいてください」
そう言って帰っていったお父さんの背中を、私たちはただ見送ることしかできなかった。 みんなが驚いて、言葉が出ない。
なんで、どうして、
そんなことしか考えられなかった。
「ま、待って父さん!」
その時、ふいに叫んだのは瞳子姉さんだった。お父さんがゆっくり振り返る。その動きがとてもゆっくりに見えて、初めてお父さんを怖いと思った。
「本当にサッカーで地球征服をしようなんて考えてるの? 無理に決まってるでしょう! それにこの子達、」
「…できます」
「な、」
「この前発見した石を利用するんです」
石っていうのは、きっとこの前、 「能力倍増効果がある石が発見されたらしい」 って風介が言ってたやつだ。でもその石を征服に使うなんて、いいことな訳ないよね?
茫然と二人の会話を聞くことしかできない、ショート寸前の頭で私は必死に考えた。
お父さん、前は優しかったのにどうしちゃったの?
もう、わかんない
← →