アナタが世界でボクが色。 | ナノ


3

あ、そう言えば。


この場の雰囲気に慣れてきた所で、オレはさっきの事を聞いてみる事にした。実は結構気になってたりする。


「あの…。さっきの…寝てる時のは」


そのままちらりと伺うと、それで通じたみたいで「…あぁそれな」と頷いて続けてくれる。


「友人曰わく、たまに寝ると数秒息が止まるらしい。只の軽い睡眠障害」


だから気にすんな、と何でもないように言った。

………。

えーと。
それ危ないんじゃ…。
ちょっと怖い。
というかもの凄く心配なんですがっ!

それを聞いて、初めて会ったばかりのこの人が凄く心配になった。けど、初対面の人に「病院行ってください」とか言っていいのかな、とも思ってみたり。

そう少し考えて何気なく視線を下げると、視線の先にある物が目に入って「あ、」と小さく声を上げた。
もうさっきまでの事は頭の隅に追いやられている。


「どうした?」


オレが急に声を出したからか疑問そうな顔で聞いてきたので、スッと指で示した。


「それ流君と同じ色、してますねっ…」


「あ?これがか?」


不思議そうにネクタイを持ち上げて聞かれたのでコクリと数回頷いた。


「はいっ。いいなぁ…何故かオレのネクタイ赤色で…」


そうなのですよ!ネクタイ、流君とお揃いがよかった…。青と黒のネクタイ。
オレのは赤と黒なの。
あ、でも。オレじゃ似合わないかなぁ。青のやつ、なんか大人っぽく見えるし流君やこの人には凄く栄えてる気がするし。

興味津々にじっとネクタイを見ていると頭上からため息が聞こえてちらりと見上げた。
すると


「…そりゃあ学年が違えば色も変わるだろ」



と、一言。



「あ。…なるほど、」


2ヶ月通ってて気づかなかった。色んな色いるなぁとは思ってたけど。
うん。
ひとつ勉強になった。
と言う事は、この人は流君と同い年という事になる


「三年生さんですかぁ」


確かこういうのって¨先輩¨って呼ぶんだよね。

そう、にこぉっと微笑むと少しの沈黙のあと呆れたように視線を送られた。


「今気づいたのかよ…」


「え、あ。…すみません、」


「まぁ何でもいいんだが。流君ってのはアイツだろいつもお前と一緒に居る」


「あ、そうです。よく知って、ますね…」


「知ってるっつーかなぁ。有名人だろ」


「そ、そうなんですかっ?」


ちょっと驚く。
もしかして日向組の事がバレてて有名だったりして…とかだったら、やばいじゃん!
心配になって次の言葉を手を若干握りしめて待っていると、その心配は杞憂に終わりを告げた。


「外部生ってのにも驚いたがあの流生とか言う奴の評判はちらほらと聞くからな。生徒会よりも美形だとか、オーラが魔王だとか、目で人殺せるとか、元殺し屋とか、…まぁ後半はデマだろうがな。俺は実際に見たことねぇが噂はクラスの奴らが騒いでた」


そう思い出すように話す。それを聞いてほっと安心。

そっかぁ。良かったー。

…ん?良かったのかな。何か物騒な噂が流れてるみたいだけど…。
というか、うわぁ流君有名人。さすが流君っ!
流君効果でオレも有名人の仲間入りに?


「いや、十分お前も有名人だから…」


え、


「口に出てた」


そうまたもや呆れ顔で言われて「何かお前がわかって来たわ」と苦笑されてしまった。



認めよう。
流君の話題になって
テンション上がりました。

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