銀のきみ
あなぼく。
ガラッ
「失礼しますー」
遠慮なしにドアが開き、ずんずんとこちら側に迫ってくる。
「銀代 晃平です。はじめまして。伊呂波さん。」
そこにはサングラスを外した
銀髪にチャラりとしたピアスをつけた青目の美男子でした。
「なーんて、挨拶に来ました。お嬢。」
ウィンクつきで優しく笑う彼。
え。え?
「ぎ、銀君!?」
な、な、なんで!?
「また詐欺顔面の人増えたわ萌」
「確かに10代じゃ通らないと思うのぉ」
「お嬢のお友達っすかい?よろしくお願いしますね」
「「あ、お気になさらず」」
「お嬢、貸してもらっても?」
「あ、はぁ」
連れて来られたのは屋上。しかも抱っこで。拒む隙を笑顔で与えないなんて、流君とはまた違った強引さだ。
ちゃんと歩けるし、階段だってらくしょうなのにっ
幸い、授業中で人はいないから誰にも見られていないが。はぁ。
「面白い友達っすね。こちらの事情一切聞かないなんて」
「一番自分が可愛い!んだって2人」
「それはそれは賢明な判断すね」
銀君は日向家に入ったばかりの頃のお世話係さんである。名を神崎銀といい、さっき名乗った名は偽名だとわかる。
「も、もう離して大丈夫ですっ」
「えー」
「え」
「嘘っす。はぁ久しぶりで癒されたー」
「ぎ、銀君何でここに?」
「何でも何も、雑賀さんの命令っすよ。お嬢のお世話係続行です。」
ニッコリ笑う銀君。
「お、お嬢って言うのやめない?」
「無理っすね。諦めて下さい。」
はぁ。と、頭を抱えていたら、
「お嬢、体育って出てました?」
いきなり質問。
「確か球技大会とかってのもありましたよね?ちゃんと、見学にしました?」
「え、え。ドッチボール、、、、」
「は?」
ビクッと肩が動く。
「た、楽しくて、ついっ。りゅ、流君には内緒にして下さいっ、ごめんなさい。」
「で?体育は?」
「、、、、」
「うんうん。来るのが遅れた俺の落ち度っすね。はぁ。あのっすねー。お嬢は体力無いんすから体育自体やっちゃまずいでしょー。学校の階段でも息上がってますよね?そもそも危ないんで。体育はお休みしちゃいましょ?」
「うー。」
はぁとため息を吐いた銀君は、何やら電話をし出した。
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