カウントダウン | ナノ



後編(1/7)


 
 
 
 
 
『そんなわけないだろ。俺はこいつなんて好きじゃないし。ただの幼馴染みだ』


夢の中でこの三日間でロイに言われた言葉が蘇る。好きじゃない。ただの幼馴染み。わかってはいたが言われたあの日は胸が痛かった。その後に三日間でロイが私を好きになるようにするって決めて言ったんだよね。


『諦めろ。俺はお前の事をそういう風に思えない』


反応はこうだった。ただの幼馴染み、って言われたから当然だとは思う。私は諦められなかった。子供の時からずっと好きだったから。相手からしたら鬱陶しいかもしれない。でも今更簡単に諦めるなどできるものならしていた。


『こいつに触らないでもらえますか』


生まれて初めて性別が違う人に怖いと感じたあの日。ロイが来てくれて本当に良かったと思った。同じ男の人でも傍にいてとても安心するなんてきっとロイだけだと実感した。


『…自分では大丈夫と思っていても、やっぱり相手から見たら…。いや、幼馴染みのお前から見たら違うんだな』


まるで"私だけ"と言っているような言葉。嬉しくてロイの幼馴染みで良かったと思った瞬間。きっと幼馴染みじゃなかったらロイの心に触れるなんて出来なかったと思うから。


『助けてやれなくて悪い』


バイトを抜け出して私の所に来てくれたロイはきっとかなり急いで来てくれたのだと汗でわかった。ロイの謝ることじゃないのに優しいロイは謝ってくるから泣いてしまって。泣きやむまでずっと抱きしめてくれていて。


『俺もアイリに助けられてるから。…ありがとな』


私はロイの何を助けたのかはわからない。それでも言ってくれたロイは私に微笑んでいた。助けてくれるのはいつもロイなのに。だけどロイはこう思ってくれてるんだと考えればますます嬉しかった。
何度でも思う。ロイが大好き。ロイの為なら何でもするよ。だからお願い、嫌いにならないで。好きにならなくていい。だけど嫌いにならないでーーー。
 
 
 
 
 

prev next

[戻る]



×