カウントダウン | ナノ



後編(2/7)


 
 
 
 
 
目を覚ませば白い天井が見える。ここは何処だろうと思いながら横に目を逸らせば窓から外の景色が見えた。ええっと…私確かクラスの女子がロイを箒で叩こうとしたから庇ったんだっけ。思い出したらなんか痛くなってきた。ここ…どこ?


「…アイリ!?」

「…ピーチ…うわっ!?」


ピーチの声が聞こえたから振り向けば扉の所にいて。すると涙を流しながらこちらに走って私を抱きしめてきた。ぎゅうううと抱きしめられている為少し苦しい。でもピーチが泣いてるのは私が原因だから我慢しよう。


「良かった…!」

「心配かけてごめんピーチ。…えっと、ここはどこ?」

「病院よ」


ああ、だからこれだけ静かだし設備もちゃんと出来ているんだ。ピーチからの話を聞けばどうやら私はロイに病院まで連れて行かれたらしい。そこまで重症じゃないから私が大人しくしていたら三日程で退院出来るらしい。お母さんとお父さん怒ったかなぁ。もしかしたらロイに何か言ってそうで怖いよ。というかまずロイに怒られそう。何で前に出てきたんだって。


「…来たみたいだわ。あの人と話しても安静にしておいてね」

「え?ちょ、あの人って…」


すっと離れたと思ったらそんな事を告げてピーチは笑顔で出ていった。あの人ってまさか…。いやあの、心の準備出来てないんだけど。もう少し待って…。


「アイリ」

「…ロ、ロイ」


やっぱり予想通りロイだった。ピーチと入れ替わりのように入ってきたロイは扉を閉める。…あれ、意外に怒ってない?ロイの表情は至って普通だ。怒ってないのなら良かったけど。


「これリンク店長から。本当は見舞いに来たかったみたいだけどバイトが忙しくて来れないからだとさ」

「う、うん…」


リンク店長にまた悪い事してしまった。退院したら真っ先に会いに行かなきゃ。リンク店長が持ってきてくれた花束を受け取り机に置く。ロイが静かに座ると沈黙が訪れる。ずっと腕を組んで下を向いたままで私はどうしたらいいのかわからない。ただこのままは嫌だと思って話題を探す。そうだ、ロイに箒を振るった女子はどうなったのだろう。まさか停学…とか?


「ロイ、姉役の女子はどうなったの?」

「…他の奴の心配かよ」

「え?そりゃあ気になるでしょ?」


何で当たり前の事を訊くんだろうか。私が答えればイラついたように舌打ちをしてロイが私を睨んだ。…やばい、今までで一番怒っているかもしれないと思った。


「アイリ、何で俺を庇った?お前が庇わなくても俺は箒ぐらい受け止めれたんだ」

「ご、ごめん。ロイが傷つくと嫌だったから…」

「ふざけんな!」


病院だから余計に響くロイの声が怒っていると表していた。私の肩を掴む両手が微かだけど震えていた。そんなロイに私は困惑しながらも見れば今にも泣きそうな顔だったからわからなくなった。どうしてロイが泣きそうになるの?
 
 
 
 
 

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