カウントダウン | ナノ



前編(1/10)


 
 
 
 
 
「おはようロイ」


告白してから三日目の朝。つまり最終日の朝。私は私の家に迎えに来てくれたロイを結構なドヤ顔で見た。前とは違い、ロイが家を出る時間を予測して来た為ロイは制服を着ていた。しかし私を見ると目を細める。


「…珍しい事もあるもんだな。今日文化祭失敗するんじゃないか」

「いやおかしいでしょ!?」


確かにお母さんにもお父さんにも凄い顔で見られたけどさ。流石に傷つくよ。いつも目覚ましは掛けてはいるけど、今日は爽やかに起きれたというか。とにかく自分で起きれたんだからせめて褒めてほしい。


「行くか」

「了解!」


結局ここで話していても意味がないので私達は学校へと向かう事になった。










「…なんか結構深いね」

「無駄に、な。…ったく、何で俺が王子役なんか」

「そりゃあそうでしょ。いいじゃん、似合ってるし」


学校に着いて教室に入り、劇の台本をパラパラとめくりながらロイと話す私。とりあえず最初から通すのは無理だから本当にメインの所だけ練習するみたい。…それ以外はぶっつけ本番でいいなんて流石だよね…。


「じゃあやるぞ。お前は姫役な」

「え、私がお姫様やるの!?」

「じゃあ誰がするんだよ?大体これのメインって王子と姫が話す所とかだしな」


でも私がお姫様でロイが王子様なんて…照れるよ。なんて考えていると「さっさとしろ」と言われて私は台本を持ちながらロイの方へ体を向けた。私は本当の姫役ではないから、仕草とかはしなくていいみたい。ロイは本当の王子役だからするみたいだけど。ちょっと…ワクワクする。
 
 
 
 
 

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