後編(1/10) ついて行ってたどり着いたのは学校の倉庫。その時なんとなくこれはやばいと思った。だけど雰囲気的に逃げられるわけが無い。向かい合う形になって。 「単刀直入に言うわ。ロイ様から離れなさい」 …だと思った。いやー、でも凄いね。先輩達も虜にさせるとは。なんて呑気な事を考える。 「目障りなのよ。わかる?」 「そーよ!幼馴染みだからって調子にのらないで!」 「調子にのってませんよ。後、離れる気は無いですから。私先輩達に言われて引くような女じゃないので」 これは本心だった。誰が何と言おうと諦める気なんてさらさらない。それ程までに私は本気だから。言ったら悪いが先輩達とは想いが違う。 「ふざけないで!」 「っ!」 パチンと音が倉庫に響く。一人の先輩が私の頬に平手打ちしてきたからだ。私は赤くなった頬を手でおさえる。 「どうせあなたなんてロイ様に何も思われてないのよ!」 「…わかってますよ」 「まあいいじゃない。この子がロイ様を諦めないのならロイ様がこの子の事を嫌いにならせばいいのよ。その為に卵焼きを入れ替えたのでしょ?」 「…え…?」 ああそうだったわ、と皆が面白そうに笑った。今日ロイが辛いと言っていた卵焼き―…。あれは私が作った卵焼きではなく、この人達が作った大量の塩を入れた卵焼きだった。つまり、すり替えられていたのだ。 「その為に、あんな事を…?」 「ええ、そうよ?これであなたが完全に嫌われると思ってね。そしたら本当に喧嘩になったみたいだし、いい気味」 笑い声が倉庫に響いた。―――が、次に聞こえたのはパチンという平手打ちをした音。それは私がされたのではない。…私が、先輩にしたのだった。 「ロイは何も関係ないでしょ!?ロイに何もしないでよ!するのなら私だけにして!」 悔しくて涙が出てきた。ロイをあんな風にさせたのは全て自分が悪かったからだ。そして巻き込んだこの人達も許せなかった。 「…こっの、よくもっ!」 私の平手打ちをくらった先輩がやり返しに足で私の腹を蹴る。そのまま私は後ろの荷物にぶつかった。痛みがきて動けない。その私を見て先輩が妖しく笑った。一気に同級生や後輩に囲まれて。やばい、と思った瞬間。 [戻る] ×
|