カウントダウン | ナノ



後編(2/10)


 
 
 
 
 
「…俺が言うのもなんだが、派手にやってやがるな」


男の声が、聞こえた。私からはその声の人物は周りの人達がいて見えない。「誰!?」と先輩が焦った声を出しながら振り返る。


「こんなぞろぞろと団体で一人を虐めるなんて恥ずかしいと思わねぇのか?」

「な、何よあなた!」

「まあちょっとな。そいつの友達から頼まれてそいつを助けないといけねぇんだ」


どうやら同級生みたいだ。それに私の友達に頼まれて…?一体誰の事?私はこの声の人物を知らない。初めて聞いた声だ。とりあえずどんな人物なのかを見たくてフラフラな体でなんとか立つ。皆はその人物を見ていた。


「って事でそいつから離れてくれねぇ?」

「ふざけるな!大体先輩に対して何て言い方を!」

「あー…。うぜぇ…」


本気で鬱陶しそうに言う男。次の瞬間、ダンッ!と壁を蹴ったような音が聞こえた。


「別にやりたきゃやればいい。けど今やめねぇとてめぇらのロイがここに来るぜ」

「え…?」

「う、嘘っ…!?」

「嘘だと思うのなら続けろよ。…ま、俺はてめぇらがどうなろうが知ったことじゃねぇし」


先輩達が脅えた様に「か、帰るわよ!」と言うと、その後に続いて他の学年の人達も倉庫から出ていった。ようやく助けてくれた人物を見れた。黒髪に赤い瞳でピアスをしている男。…あれ、この人…どこかで…?


「怪我はしてねぇのか」

「…痛いだけ。助けてくれてありがとう」

「てめぇの為じゃない。頼まれたからだ」

「頼まれたって…」

「ピーチ」

「…って事は、例の男!?」


そうだ、ここに来る前にピーチの隣にいた男子だ。つまりピーチが間違えてラブレターを渡してしまった相手。


「うっせぇな、もう少し静かにしろよ」


うわ、何この口悪い男。こんな男がピーチと絡んでいるなんて信じられない。
 
 
 
 
 

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