カウントダウン | ナノ



前編(1/8)


 
 
 
 
 
『アイリはゆめとかある?』

『ゆめ?』


ロイと出会ってから数ヶ月経った時の話。もうすっかり仲良くなっていた私達はブランコで遊んでいた。突然ロイがそんな事を言ってきて、私は首を傾げる。そして訊かれた質問に悩む。


『んー。あるかなー…』

『なに?』

『およめさん!』


子供ではよくある夢だと思う。私、本気で誰かのお嫁さんになりたいって思ってたし。…まあでも、今はロイのお嫁さんにしかなるつもりはないけど。
確か当時ロイは冷めた目をしながら私を見てきたはず。最も気づいていない私だったけど。


『そうゆーロイはー?ゆめあるのー?』

『…とくになにも。でもいまできた』

『えー、なーに?』

『それはな―…』


…何だっけ。どうしてこんな肝心な所を覚えていないのだろう。確か私は、その時からロイを好きになっていたはずなのに―…。















  二日目















「…うるさ…い…!」


ジリリリリと鳴るアラームを止めて再び眠りにつこうとする私。どうしても眠くて堪らない。が、次に聞こえたのはギシッという音。


「アイリ」


そして男の声。目を瞑っていてもその人物がベッドの上に座っているのがわかる。そして次の発言に少しだけ期待をしながら目を瞑っていた。


「起きないと…デコピンするぞ」

「起きますっ!」


期待した言葉とは違った為、ガバッと勢い良く体を起こす私。目の前には赤い髪が特徴の幼馴染み―…。ロイがいた。「おそよう」なんて言ってくる。


「きょ、今日はキスじゃないんだ」

「そんな事言ったらお前本気にするだろ」

「まあね」

「お前な…」


冗談でも無くさらっと本音を言うと呆れたように笑うロイ。だけどその後「アイリらしいからいいけど」なんて言われた。それって褒められてるのかな。


「…で?今日も色気の無い格好だな」

「へ?」


着ている服は長袖に十字架のマークがある服。それからダボダボなズボン。…た、確かに色気が無いかもしれない。


「けどロイに見せたいわけじゃないもん!」

「だろうな。つか見せられても何も思わないし」

「ちょ、どういう意味!?」


いくら何でも酷いと思った私が怒ってもロイは私の部屋から出ていってスルー。少しイラッときたが、とにかく着替えなきゃと思い直ぐに制服に着替えたのだった。
 
 
 
 
 

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