カウントダウン | ナノ



前編(2/8)


 
 
 
 
 
下の階に降りると料理を持ったお母さんとその料理を食べているロイと新聞を読んでいるお父さんがいた。お父さんが私に気がつくと優しく微笑んで。


「おはようアイリ」

「おはようお父さん!今日は仕事無いんだ!」

「ああ、無いよ」


お父さんに抱きつきながらも話す。お父さんは優しく微笑みながら話してくれる。こんなお父さんが大好きだ。そんな事を考えてたら後ろから冷たい視線を感じた。


「あんた達…ロイ君のいる前で何しているのよ…」

「気にしないで下さい。寧ろ仲が良くて微笑ましいですよ」

「後半棒読みで言ってるんだけど」

「気のせいじゃないか?」


なんて言いながらロイはお母さんに「美味しいです」と微笑んだ。いやあれは明らかに棒読みだった。むむ、私とお父さんの仲に嫉妬とかしないのか。


「ロイ君、娘はやらんぞ」

「わかってますよ。彼女はもっと良い人と出会うはずなので」

「え、ないない。私ロイと結婚するし。お嫁になるし」


ピキン…と私の発言で周りが凍った気がした。お父さんが微かに震えているのがわかる。ロイはというと「この馬鹿…!」と私を睨んできた。え、何で?正直に言っただけじゃん。


「ロイ君…?これはどういう事なのかな…!?」

「い、いやあの、これは…」

「あなた、落ち着きなさい。これはアイリに問題があるわ」

「何で私?本当の事言ったまでなのに?」

「ほ、ほほほ、本当の事…!?本気なのかアイリ!」


ガシッと肩を掴まれてお父さんの顔を見る。凄い焦っている表情。「本当だよ」って言ったらお父さんがロイに目を向けズカズカと近づいていった。お母さんが何か危機を感じたのかロイに耳打ちし。


「ロイ君、早く行った方が身の為よ」

「…そうですね。美味しかったです。行ってきます」

「わっ、ちょっとロイ!?」

「待たんかロイ君!」


ロイに腕を引っ張られてそのまま家を出た。後ろからはお父さんの悲痛な声が聞こえた。


「…お前な、本気で馬鹿だろ。何で自分の両親の前で言うんだよ」

「だって本当の事じゃん。私ロイとしか結婚しないよ?」


寧ろ他の人と結婚なんて考えられないし。はぁ、とため息をつくとロイは「行くぞ」と言って先に歩いていく。私はそれについていった。
 
 
 
 
 

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