『シャンパーユタウン?』
『そ!こないだ掃除の仕事で行って来たんっす。ギルモア公国にある海岸沿いの大きな街なんだけどぉー。古い時計台とかあってさ、雰囲気がすっごい私好みなの』
それはまだ彼女が生きていた頃。そして自分がまだ野良猫になってなかった時の話。
『トレイン君も絶対好きだと思うんだよねー。あーゆーの!機会があったらいつか連れてったげるよ』
『…へっ、お断りだね』
『あらら…どーして?』
『あんたに連れて行ってもらったんじゃ意味がねぇだろ』
自分が野良猫になった時に自分の力で行く。そう答えるとサヤは笑った。
第11話 選んだ生き方
今私達がいる所はシャンパーユタウン。古い時計台があって、賑やかな場所だ。ここに来た理由とは勿論標的がいるからで。
「で、どーなのよスヴェンちゃん。本当にあいつで間違いねぇのか?」
少し距離をとって私達は目の前にいる男性を尾行している。その男性が今回の標的かも知れないからだ。
トレインさんはいつものあのドーナツが特徴な服を着ていない。バレないように変装している。イヴちゃんはトレインさんの兄妹のフリをしている。ま、まあ…不本意みたいだからずっとムスッとしてるけど。
そして私は…トレインさんの彼女のフリをしているのだ。何故かスヴェンさんとイヴちゃんにその方が良いと言われてこうなってしまった。
恋人らしく、て、手を繋いでるんだけど…。恥ずかしくてたまらない…!私もイヴちゃんと同じく妹で良かったのに。
『まあ待て。これから照合する』
トレインさんは耳につけてあるイヤホンみたいな物でスヴェンさんと連絡をとっている。どうやら前にいる男性が今回の標的と確定したみたいで動いていいみたいだ。
「んじゃ行ってくら。二人はここで待ってな」
「あ…うん」
「………」
トレインさんと手が離れてしまい何故だか残念と思ってしまう。…ん…?残念…?何で…?
「明。行こう」
「え?」
「トレインだけずるいもの」
それだけ言ってイヴちゃんはトレインさんの後を追う。私も走ってイヴちゃんの後を追った。
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