第9話 別れ
バサッとイヴちゃんが読んでいた分厚い本を置く。「どうしたの?」と私が聞くと「もう全部読んじゃった…」と言うイヴちゃん。凄いな。あんな分厚い本をもう…。私は本を読む事がそもそも苦手だから。
「やっぱり二人について行けばよかったかな…」
只今私とイヴちゃん二人。トレインさんとスヴェンさんはアネットさんの所へ行っている。だけどイヴちゃんは先程読み終わった本がまだ途中だった為行かなかった。そして私も一人だったら危ないから一緒にここに残る事にしたのだった。
「…それにしてもこの前はびっくりしたね」
「え?」
「ほら、この前来た…」
「この前…。あっ、セフィリアさんとベルゼーさんの事?」
私がそう言うと頷くイヴちゃん。そう、この前―…。私達の所に突然時の番人のトップ…TとUが来たのだ。Tの人…セフィリアさんは女性で凄い綺麗で…私的に憧れるような人。そしてUの男性…ベルゼーさん。あんまり喋らなかったけどイヴちゃんが一度撫でられた事があるみたい。多分優しい人なのだろうな。
そんな二人が来た理由は…例の世界会議事件。あの事件を起こしたのはかつてトレインさんの相棒だった…"クリード"って人が率いる"星の使徒"。秘密結社の長老さんはその日の内に時の番人に星の使徒壊滅を下したらしく、今も彼らの行方を探しているらしい。
それにトレインさんも"掃除屋として"協力してほしいとセフィリアさんが言ったのだ。あの事件の首謀者に賞金をかける事を決定したらしく、その金額は30億イェン。スヴェンさん曰く歴代トップ3に入る高額賞金。ベルゼーさんは手配書を置いていってくれた。
セフィリアさん達時の番人は任務達成の為なら手段を選ばない。理由できるものは全て利用する、と言った。それはトレインさんも…なのだろうか。私にはわからない。そしてセフィリアさんが言った言葉…。
『あなたがクリードを倒さなければ…彼女の魂は救われない…。私はそう思います』
彼女。思い浮かぶのは前に聞いたミナツキサヤさん、だよね。トレインさんはどうするんだろう。この時は何も言わなかったけど…。
「あの人…明の事も言ってたね」
「…うん」
…私のことも言われた。あれは本当に怖かった。セフィリアさんの目が。今思い出しても少し鳥肌が立つ。あの時の会話…。
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