「…でっ!…どうするつもりなんだスヴェン」


ただ今宿にて話し中。とりあえず偽物の人が何をしても全く起きないので部屋に連れて帰ってきたのだ。その事に対してスヴェンさんは「そりゃ道端に放ったらかしとくわけにはいかねぇだろ」と答える。確かにね…。そこでトレインさんは何か閃いたのか。


「わかった!リンチか!?」

「違う!」


とまさかの発言。それに続けてイヴちゃんまで。


「逆さ吊り…とか?」

「違う違ーう!」


どこで知ったんだというような言葉を言った。私がその事に笑っているとスヴェンさんは何故か私を見てくるのがわかって首を傾げた。


「どうしたの?」

「いや…明まで言ってくるのかと思ってな」

「あ、そっか。ちょっと待ってね、考える」

「考えんでいい!」


冗談で言ったのに本気でツッこんでくるスヴェンさんに思わず笑みがもれる。スヴェンさんはゴホンと咳払いして「別に被害を加えるつもりはねぇよ!」と言う。


「奴に本物の事を教えて今後黒猫の名を騙らせねぇように約束するだけだ。そしたらすぐに帰してやるさ」

「別にいいじゃん、騙らせとけば」

「い、いいの?」

「…いや、駄目だ」

「おいおい、標的を横取りされたぐらいで大人げねーぞスヴェン!」

「お前俺達の借金がどれだけあるか忘れてるだろ…」


…スヴェンさんがそれぐらいの理由ではこんな事言わないと思うのだけど…。そう、それはトレインさんの為…とか。


「それに…俺はただそれだけのために言ってる訳じゃねぇ。お前が一番わかっているだろ?トレイン…。"黒猫"の名が持つ重みをよ…」

「………」


黒猫の名が持つ重み…?わからないけど、何か重要な事だとはわかった。















  第7話  "黒猫"の宿命















そこでガチャリと部屋から出てきた人物がいた。それは勿論トレインさんの偽物の男性。


「お目覚めみてぇだな」

「よーお嬢ちゃん!こんな所にいたのか!」

「………」


イヴちゃんの方を見てそう言う偽物の男性に対し無言なイヴちゃん。…うーん、でも少し嫌そうな顔してるな。


「ん?そいつらは?」

「俺達はこの子の保護者だよ」

「なにっ!?…」

「いいか、あんたに一つ言っときたい事がある「あーそうか!!」」


スヴェンさんが話しているのに遮る偽物の男性。突然大声出してどうしたのかな?


「突如貧血で倒れた俺様をおめーらが助けてくれたってワケか!なーるほどぉ」

「は?」

「え?」


指をさし笑いながら言う偽物の男性に私とスヴェンさんは理解できない。…ああ、駄目だ。私こういうタイプ駄目っていうか、苦手…。


「いやーそいつはお世話になったなー。どうも最近疲れ気味だったからよぉー!」

「…何カンちがいしてんだこいつ…」

「ははは!おもしれーオッサンだな」


大声で笑う偽物の男性にトレインさんは本当におもしろそうに笑うがイヴちゃんはただじっと見ているだけ、私は冷たい目で見ているだけ。
そこで笑っている偽物の男性のお腹が鳴り、「何も食ってなかったな」と言う。そして私達に助けてもらったお礼もかねて一緒にどうかと聞いてきた。しかもおごりで、とのこと。そこに当然というべきかトレインさんが食らいつく。スヴェンさんは呆れながらもとりあえず行くことにした。
 
 
 
 
 


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