第5話  パーティー終わって…















「ああ、今スヴェンと明と一緒に車で奴を追ってる。姫っちには心配ねぇって伝えてくれ。じゃ…またあとでっ!」


電話の相手であるリンスさんにそう言い伝えてトレインさんは電話を切る。どうやらイヴちゃんはリンスさんと一緒にいるみたいだ。とりあえず無事で良かった。


「…なぁトレイン。俺はいまいちこの事態が理解できてねぇんだが?」

「私も…」


突然恐竜狩りと言われて現在車で恐竜を追っているが、まずどうしてこんな事になったのかは未だにわからない。


「安心しろよ。俺も大してわかってねぇから」


トレインさんがわかっていることは、あの恐竜がマダム・フレシアという人のペットらしいという事とイヴちゃんからその恐竜を殺さずに止めるように頼まれた事らしい。
スヴェンさんは「ずい分カワイイペットだな、オイ」とツッコミを入れる。恐竜がペット。お金持ちの人が考える事はちょっと…いやかなりわからないかもしれない。強めに言えばわかりたくもないというか。
それにしてももう一回恐竜を目の前にして私は冷静でいられるだろうか。まあでも一人じゃないから…なんて思っていれば、助手席に座っているトレインさんがこちらに振り向いて目が合う。


「正直明もリンスの所に行かせても良かったんだけどよ、こういう経験もする必要あるだろ?」

「お前はもう少し明の事を考えろ。勘違いするなよ明。こんな事滅多にない事だからな」

「そ、そうなんだ。良かった…」


あまりにもトレインさんが楽しげに笑いながらさも普通の出来事の様に告げるから、流石に人間以外の、しかも大型の相手と闘うって掃除屋大変すぎないかとか色々考えてしまった。


「明、お前は車で待機しとけ。俺達が止めるから」

「車で!?で、出来れば二人と一緒にいたいんだけど…」


多分恐竜の近くに車を停めるよね。そんな近くにいる状況で車に待機って方が怖いよ。二人といる方が私の気持ち的に安心するに決まってる!無理で勝手なお願いになるけど、ここは押し通さないと…!


「め、迷惑かけないようにするから、近くにいてもいい…?」

「…どうするトレイン」

「ま、いいんじゃねぇの?一緒にいた方が何かあった時に守れるしな」

「それもそうか。なるべく離れずにちゃんと安全な所にいろよ」


二人から離れたくなくて懇願しながら言えば許してくれた。無理で勝手なお願いなのに受け入れてくれて、優しく声をかけてくれる二人の優しさを感じながら私は「うん」と笑顔で返事をしたのだった。
 
 
 
 
 


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