『ねーえ明ちゃん。私達と友達にならない?』

『え…?い、いいの!?』

『もちろん!』

『ありがとう!よろしくね!』












「えへへ…うれし…」

「こら!!寝言言ってないで起きなさい!!」

「うわっ!?」


突然布団をとられる。私は布団に抱きついていたため、そのまま床に落ちた。そのせいで頭をぶつけてしまい、半泣き状態で頭を手でおさえながら起き上がり布団をとったお母さんを睨む。


「いたた…。お母さん酷いよ!」

「あんたわかってるの!?今日は入学式よ!?」

「あっ、そうだった!早く用意しなきゃ…!」

「まったく…。リビングで待ってるわよ」

「うん!ありがとうお母さん」


どういたしまして、とお母さんは言って部屋から出る。わわっ、早く用意しないとね…!












  第0話  終わる人生
















――――初めまして、私 沢村明と言います。今日から高校一年生。待ちに待った入学式!もう楽しみで仕方がない!新しく着る制服もかわいくて、テンションMAXです!眼鏡も新しく買い、気合は充分!というわけで、さっそくリビングに行ってお父さんに見せてきます!


「おはようお父さん!!」

「おはよう」

「どう?似合ってる?」


くるりと一回回るとスカートがふわりと浮く。短パンを履いているから特に何も思わないがお父さんに「やめなさい」と言われた為止まった。こほん、と咳払いしたのちお父さんは私をもう一度見て言う。


「良いんじゃないか?」

「…本当?嬉しい!」

「そんな事言ってる暇があるのかしら?」


お父さんの言葉に喜んでいるとお母さんに言われて何がと思い、お母さんの方を見る。お母さんはちょいちょいと時計を指しており、それを見る私。時刻はもう外に出ないといけない時間になっていた。


「…あ!早く行かなきゃ!」


…っと、その前に。テーブルの近くにある仏壇の前に座る。真ん中にある写真に写っているのは私のお姉ちゃん。海姉ちゃんは私が小さい頃に事故に遭って亡くなった。それから毎日仏壇に向かって…。いや、海姉ちゃんに日常や思った事を言っている。


「…今日から高校生なんだ。頑張ってくるね」


笑顔で言って私は立ち上がる。『行ってらっしゃい』と海姉ちゃんの声が聞こえた気がした。テーブルに置かれている皿の上に食パンがあるのが見えて手で掴み玄関へと歩いていく。


「食パン一枚食べてくね!」

「待ちなさい、明」


出ようとするところをお母さんに止められた。どうしたのだろうと思っていると、私の右腕をとり何かをつける。見ると、猫のマークがあるブレスレットがあった。


「…お母さん?これ…」

「お母さんとお父さんからの入学祝い。大事にしなさいよ?」

「色々と大変な事もあるだろうが、頑張りなさい」

「…ありがとうお母さん、お父さん!大好きっ!」


涙を流しそうになったので外に出た。どうしよう、これ凄く嬉しい。元々私は猫が好きだからきっとそれをわかって買ってくれたのだと思う。これ…私の宝物だよ…。ずっとつけていよう。
 
 
 
 
  
  
 
 
 
 
 


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