ホテルに戻ってきた私達はスヴェンさんに連絡を取ろうとしていた。ディスクの中身を見る為の方法はスヴェンさんに聞いた方が早いと思ったからだった。しかしイヴちゃんがスヴェンさんに電話をかけるが出ない。秘密特訓の途中だからかな。


「こーゆーハイテクなモンは苦手なんだけどなー」

「私達で調べるしかないね」


せめてユヅキさんがいてくれたら良かったのだけど。でもそれだとトレインさんと喧嘩しそうな気もするのだけどね。










  第26話  ディスク起動










「ホントに参加するの?掃除屋同盟…」

「何だよ、今更やっぱやめよーってか!?」

「私は…嫌じゃないよ。強い仲間がたくさんいれば頼もしいし。でも…他の掃除屋と協力してクリードを捕まえる。そんな決着のつけ方でトレインはいいの?」


クリードとの闘いはトレインさんの過去と決着をつけるため。なのにもしもトレインさん以外の人がクリードを捕まえたら…とイヴちゃんが聞く。


「姫っち…お前、もしかして…。熱でもあんじゃねー?」


立ち上がりイヴちゃんに近づいていくトレインさんはイヴちゃんの額に自分の手で熱を測るように触れる。瞬間、イヴちゃんが変身、大槌[ハンマー]でトレインさんの頭の上に落とす。顔が完全に床に当たっているからか、メキキ…と凄い音がしていたから私は直ぐ様イヴちゃんを止めた。


「…馬鹿」

「イヴちゃんは心配しているんだよね」

「心配にゃ及ばねーよ。クリードをブッ倒せるのは俺だけだ」


そう言って笑うトレインさんを私は信じたい。きっとあの人を倒せるのは…そして捕まえるのはトレインさんだけだと私も思うから。
するとイヴちゃんの視線が今度は私に向けられる。


「…明は?」

「え?」

「司は星の使徒の一員になってる。だからきっと司と闘う事になると思う。でも他の誰かに倒されたら…明はどうするの?」

「イヴちゃん…」


倒される。その意味はただ止めてくれるというだけならいい。でも、違う意味ならば。
あえて言葉を選んで言ってくれたと思うイヴちゃんは心配そうに私を見つめていた。だけど私は心配をかけさせないように微笑んで言う。


「司が私を狙っているのなら、司は他の人達の所へは行かない。真っ先に私の所へ来ると思う」


…ううん、司が私を狙っていなくても私と司は必ず会える。なんとなくわかるの。闘う事になったとしても、私は司を止める覚悟は出来ている。迷わない。


「だから大丈夫だよ。心配してくれてありがとう、イヴちゃん」

「明…」

「…よし、それじゃ行こーぜ!とっととディスクの中身確かめねーとなっ」


トレインさんが私の頭に手を乗せてきて、私の横を通り過ぎる。突然の事に驚く私だったが、少しだけ笑って目の前にいるイヴちゃんに近づき手を握った。


「行こっかイヴちゃん!」

「うん。…司の事で悩んでたら言ってね、明」

「…!うん、ありがとう!」


お互いに笑って私達はトレインさんの後を追った。 
 
 
 
 


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