「…殺して欲しい奴がいる…だと?」

「うん。…父ちゃんの…仇を討ちたいんだ」

「!」

「カタキ?」


敵討ち…?この歳で何を言っているのだろう、この子は。でもとても冗談を言っている表情ではない。本気、なのだろう。


「…もしかしてさっきの黒い帽子の人達?」

「違うよ!…あいつらの狙いは俺だけど…」


よくわからなくてスヴェンさんが警察の所へ行った方がいいんじゃないかと告げる。私達は殺し屋じゃないし…。だけどその一言に少年は。


「…け…警察なんか行けねーよ!父ちゃんを殺したアイツは…警官なんだぞっ!?」

「「「!?」」」


そう言った。警官…!?どういう事…!?









一旦アジトに戻る。男の子…ティムは白いケースのフィルムを机に置いた。その中に警察とマフィアの闇取現場が入っているという。ティムの父さんはジャーナリストで半年がかりでこれを撮ったらしい。これで警察内部の犯罪を暴けると。だがその事を相手に気づかれてしまい二人は逃げていたが…ボールディン警部という人に殺されてしまった。


「ちくしょう…」

「ティム…」


涙を流すティムに胸が痛くなる。そんなティムにトレインさんは父さんを殺した人を殺したいのかと後ろで腕を組みながら言う。その言葉にティムは立ち上がり当たり前だと言い返した。このままじゃ絶対許せない、と。


「なぁ頼むよ!掃除屋だかなんだか知らないけど…あんたの腕ならきっとあいつを殺せる!ちゃんとお礼はするから…。父ちゃんから預かったお金が少しあるんだ!」

「…あのな…」

「そういう問題じゃないんだよ、ティム…」

「………」


そうは言ってもやはり納得する気はないティムをトレインさんは無言で見る。もしかして何か言ってくれるのかなと思っていると。


「…その少しってのはどの位だ?」


とまさかの質問。ティムは戸惑いながらも10万イェンと答える。するとトレインさんがティムに拳骨をくらわした。ちょ…!


「だ、大丈夫!?」

「っ…いってぇー!何すんだよっ!」

「お前裏の世界ナメてんだろ!10万ぽっちじゃアリ一匹だって殺してもらえねーっつーの!」

(説教するポイントが違うだろ)


若干怒りながら言うトレインさん。じゃあ、と続けてティムが言った。自分に銃の使い方を教えてくれと。いつか自分の手でボールディン警部を殺すと迷いもなく。その言葉を聞いてスヴェンさんは呆れていた。


「…そんなにオヤジの仇を討ちてぇか…」

「…ああ」

「…トレイン?」


まさか。そう思った私は反射的に息を呑んだ。


「わかった…お前にゃ負けたよ。―――俺がそいつを殺してやる」

「!!」

「!?」


いつものトレインさんじゃない。何処か違う。そう思ってしまう。私が知らないトレインさん…なの?
トレインさんの言葉を聞いて喜ぶティムにとりあえずご飯を食べて休めと気遣うトレインさん。それにティムは頷いたのだった。
 
 
 
 
 


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