「はぁ…はぁ…」

「大丈夫ですか?明様」

「ちょっと…きつい、ですね…」


息を切らしながらユヅキさんに返事をする。あれから1時間…私とユヅキさんは斬りあいをしていた。…というよりも私がユヅキさんに一撃でもあたえられたら終わりだったのだけど…。まあ決まらない。それに体力が持たない。だから長期戦は無理だとユヅキさんに言われた。
…ただ、私が攻撃してる時かなりユヅキさんに怒られちゃった。「動きが遅いです!」「相手を傷つけないようになどは考えないで!」とか…ね。本当の事だから仕方ないけど…怖かったな。


「あの、ユヅキさんこそ…って、え!?」

「申し訳ございません!」


大丈夫ですか、と聞こうとしたら突然頭を下げて私に謝るユヅキさん。いきなりの事に私はあたふたする。一体どうしたのだろう。悪い事などされたっけ…?


「先程あなた様に失礼な事を申しまして…。本当に申し訳ございません…」

「そ、そんな!いいですよ!本当の事ですし!」


そりゃあ確かに怖かったけど。でも事実なんだから言われても当たり前。と思っていてもユヅキさんは物凄く落ち込んでいて…。だから私は思っている事を伝えた。


「…私は嬉しい、ですよ?」

「え…?」

「その、ユヅキさんの本音とか色々聞きたいです。友達らしい…ですし…」


改めてこんな事を口にするのは中々勇気がいる行為なのだと思い知る。ユヅキさんは顔をあげて「とも…だち…?」とキョトンとしていた。


「あああ、嫌ならいいんですよ!?わ、私が勝手に思っているだけで…すみません!」

「…嫌なんて言いません。嬉しいです、明様」


心の奥から嬉しいと言っている笑顔。それに対して私も嬉しくなって笑う。良かった、喜んでくれて。


「えっと、とりあえずですね…『様』づけはちょっと。友達で様はその…」


嫌すぎる。私別に偉くもないし、寧ろユヅキさんの方が偉いし。だからせめて様は外してほしかった。近づける気もするから。


「…では、"明さん"で…」

「!…はい!」

「なら私に敬語はいらないです」

「わ、わかりました。…普通に話すね?」


戸惑いながらも敬語をやめるとユヅキさんが柔らかく微笑む。な、なんか凄く恥ずかしいのだけど…!やばい、顔赤くなっているだろうな。


「…お顔が赤いですよ、明さん」

「や、やっぱり…!?」


そう思っていると言われてしまった。歳が近い異性と仲良くするなんて、天田君くらいだし。でもユヅキさんと仲良くなれたのは嬉しい。流石に敬語は外せないみたいだけど。それでも仲良くなれた事には変わりないよね…!


「よし、休憩終わり!続きお願いしていいかな?」

「はい。今度こそ私に一撃をお願いします」

「が、頑張ります…」


そう言ってお互いに笑った。
 
 
 
 
 


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