それからというものの、トレインとサヤは同じアパートの住人というのもあり何度か接触していた。そして三ヶ月経ち、トレインに変化が現れた。標的を殺さずに見逃すようになった。当然その事に秘密結社の最高指導者は黙っていなかった。
『何故自分がここに呼ばれたのかわかるか…?』
『…わかんねーな』
トレインは秘密結社に呼び出されモニターに映っている最高指導者…ウィルザークを見ていた。当然呼ばれた理由はわかっていた。
『フン…とぼけおって…。貴様の不始末が伝わっておらぬとでも思うのか?』
『聞けばここ最近標的を抹殺せずのこのこと戻ってきておるそうではないか!』
『抹殺者としての責務を放棄するというのか!?』
左右に映っている長老達がトレインに苛立っていた。最長老が何故トレインを特例のNo.]Vに任命したのか。それは抹殺者としての実力と確実に敵を仕留める非常さが認められたからであるからだった。しかし今のトレインは敵を仕留めるという行為をしていなかった。ウィルザークがトレインに事情があるからあのような事をしたのかと尋ねる。
『別にただ自分の"思ったように"行動しただけさ。殺さなくてもカタは付けられるんだからわざわざ息の根を止める必要はねぇだろ』
『"思ったように"…だと?何か勘違いしているようだな、黒き猫よ…。"自由な意志"を持つ事などお前には許されていない。お前は我ら秘密結社の飼い猫にすぎぬのだ』
『飼い猫でも野良猫でも…。猫は"自由"に生きるもんだぜ』
自由。それはトレインが彼女といて知れたものだった。納得がいかないウィルザークはトレインを10日間懲罰房入りにした。
[prev] [next]
[back]