「ったぁーい」

「こ…このガキ…」


男性は頭をおさえ体を起こそうとしながらキョーコさんに謝る所か睨んでいた。最もそれに気づかなくて私はキョーコさんに近づいた。


「あの…。大丈夫ですか?」

「ん?へーきですよぉー!」


キョーコさんに手を差し伸べるとキョーコさんは私の手を握り立つ。一瞬先程の男性の様に燃やされるかと思ったけど、そんな事はなかった。
手を離したキョーコさんは自身のスカートが汚れてしまった為ポンポンとスカートを叩いている。そのキョーコさんに対しぶつかってきた男性が胸ぐらを掴んだ。


「道の真ん中でボサッとしやがってこのアマ!」

「な、何言ってるんですか!自分からぶつかってきたくせに!」

「うるせぇ!」


何か光った物を持つと男性はそれを私に振ってきた。とっさに後ろに下がって避ける。光った物とはナイフ。危うく斬られそうだった。
避けられた事に舌打ちをした男性は今度はキョーコさんにナイフを見せる。見せながら脅す男性だけど…その瞬間に感じたのは殺気。それはキョーコさんから発せられていて。シャルデンさんがキョーコさんを止めようとするがそれは遅く、キョーコさんの右手には炎が出ており。その炎を男性にぶつけようとした瞬間―…。


「ぐあっ!」


横からトレインさんが男性を殴った。倒れる男性はナイフを落とす。どうやらトレインさんは男性がナイフを持っていた事に気づいていなかったみたいで、殴った手をプラプラさせながら「こいつナイフなんざ持ってやがったのか」と落ちたナイフを見ながら言う。


「よーし!やったぜトレイン!よくやった!これで5万イェンGETだぞ!」


いつの間にかいたスヴェンさんはニコニコしながらトレインさんの背中を叩く。…この様子からしてこの男性の人を追っていたのかな。


「大丈夫デスか?キョウコさん」

「…テキ…」


いつまで経っても俯いているキョーコさんにシャルデンさんは声をかける。何か言ったのだが小声だった為、近くにいた私やシャルデンさんに聞こえなくてもう一度シャルデンさんが聞きなおすと。


「ステキ!身をていして私をナイフ男から守ってくれたんですねぇー!」


目を輝かせてトレインさんを見るキョーコさん。その表情はまるで…恋する乙女みたいな。ううん、みたいな、じゃなくて絶対そうだ。全員が呆然としている中キョーコさんはトレインさんに近づいていく。
 
 
 
 
 


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