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「「「「「きゃああああああああ!!黄瀬くうううううん!!」」」」」


放課後。一人で図書室勉強をしていると、物凄い音と声が廊下から聞こえてきた。何事かと座ったまま窓を見ると、1人の男子生徒を先頭に、そのあとを数人の女の子たちが追いかけていった。まるで嵐だ。
何となく走って行った子達を見ようと廊下を覗いたとき、生徒手帳が一つが落ちているのに気づいた。


『黄瀬涼太?』


拾って名前を確認すると綺麗な顔立ちの男の子が生徒手帳の写真で何故かピースをしていた。なんだか見たことがあるような。頭を捻りながらも、明日本人に届けてあげることにした。










「…苗字先輩?」

『っ!ビックリした…黒子くんか…』


昼休み、ご飯を食べてから1年生の廊下をウロウロしていると、後ろから急に声をかけられた。全然気づかなかった。「どうされたんですか?」と首を傾げる黒子くんに、昨日拾った生徒手帳をみせると、黒子くんが一気に顔をしかめた。


「…黄瀬くんの、ですか…」

『あ、黒子くんの知り合い?』

「ええ、まあ…」


歯切れ悪く返す黒子くん。
もしかして、黄瀬くんという彼と仲がよくないのかな。つい、苦笑いを溢したところで「黒子、苗字先輩」とやけに落ち着いた声がした。


『あ、赤司くん。こんにちは』

「どうも。先輩がこの階にいらっしゃるなんて珍しいですね」

『ちょっと落とし物を届けにね』

「落とし物?」


そうほんの少し首を傾げる彼に「これですよ」と黒子くんが生徒手帳を渡すと、それを開いた赤司くんも眉を寄せた。


「…黄瀬か…」

『…えっと…赤司くんも黄瀬くんっていう子と知り合いなの?』

「知り合いというか、同じ部活ですね」


え、同じ部活?
それにしては二人の反応が微妙なような。
はあっと同時にため息をつく二人に目を丸くしていると、「あっ!赤司っちー!!」今度はとても元気な声が廊下に響いた。


「こんなとこで何してるんスか??」

「…黄瀬くん、廊下では叫ぶものではありませんよ」

「え?うわ!黒子っちもいたんスか…」


「言って欲しいっスー」なんて言いながら嬉しそうにニコニコと笑う彼は紛れもない黄瀬くん本人だ。
キラキラとした金髪を見ながら、やっぱり何処かで見たことがあるような気がしていると、ふいに黄瀬くんと目があった。


「あ、新聞の…って、ぐえっ!!な、何するんスか黒子っち!!」


指をさしてきた来た黄瀬くんに小さく肩を揺らすと、そんな私に気づいてか、黒子くんが黄瀬くんの横腹にチョップを入れた。
結構痛そうだ。
「なんで怒るんスか!?」「君があまりにも駄犬だからです」「…だけん??」「「はあ…」」「二人してため息つかないで欲しいっス!!」
3人のやり取りからして、仲が悪くはなさそう。
ふふっと思わず笑ってしまうと、三人の視線がこっちに向いた。


『あ、ごめんね。なんだか面白くて』

「いえ、それはいいんですが…」

「…ていうか、あんた2年っスよね?ここで何してんスか?」

「黄瀬、言葉遣いに気を付けろ」


キッと赤司君に睨まれた黄瀬くんはビクッと何かに怯えように震えた。
「いやいや、気にしなくていいよ」と笑って、例の生徒手帳を黄瀬くんに見せるとあっ、と小さな声を黄瀬くんが漏らした。


「これ、俺の…」

『昨日拾ったの』


どうぞ、とそれを黄瀬くんに渡すと「どうもっス」と素直に受け取ってもらえた。
なんだ、いい子じゃないか。
小さく笑って黄瀬くんを見つめていると、ふいに彼を何処で見たことがあるのかを思い出した。


『あ、そっか。モデルの…』

「え?あー…はい。サインいります??」

『え?いや、いらないかな』

「え」

『え?』

「え?」

『え?』


な、何か変なことを言っただろうか。
驚いたような、どこかショックをうけたような顔をする黄瀬くん。助けを求めて赤司くんと黒子くんを見ると、何故か二人は肩を揺らして笑っている。


「…まあ…全員が全員、黄瀬くんに興味があるわけじゃありませんしね」

「そうだね」

「…なんで二人して愉しそうなんスか…」


ムスッとしている黄瀬くんに更に笑う赤司くんと黒子くん。やっぱり仲いいんじゃないか、この3人。とりあえず、用も終わったし帰ろう。
「それじゃあ私は」と踵を返すと「あ、あの!」と黄瀬くんに呼び止められる。


「えっと…たしか苗字先輩っスよね?」

『あ、うん。そうだよ』

「何組っスか?」

『A組だけど…?』


なんでこんな質問してくるんだろう?
不思議に思って首を傾げると、黄瀬くんはそれ以上は何も聞いてこなくて、「それじゃあ、また明日っス!」と手をふられた。

結局、何だったのだろうか?
39 金髪わんこモデルくん

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