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中学3年になりました6


名前先輩に着いていって見させてもらった試合はなかなかのレベルで勉強になった。
見終わったあと、体育館を出てから先輩に連れて来てくれた事への礼を言っていると、さっきの2人が出てきた。


『2人ともお疲れ様!!』


笑顔で笠松さんと宮地さんを迎える名前先輩に、その2人も満更でもなさそうな顔をしていた。

“弟みたいなものだから”
試合を見る前に言われた台詞を思い出す。
確かに先輩からすると、俺もあの2人も“男”という部類に入ってないのかもしれない。

チラリと先輩を見ると、何故か笠松さんと宮地さんの2人を並べて写真を撮ろうとしている。
嫌そうな顔をしながらもなんだかんだで従っているあの2人は多分、名前先輩を少なくとも姉とは見ていないだろう。
でなきゃ、俺と先輩が話すのを邪魔するために試合中にバスケットボールを投げてくるなんて事はしないはずだ。

顔面に当たらなくて本当に良かったと息をはいていると、「虹村くん!」といつもよりも心なしか明るい声が俺を呼んだ。


「なんですか?」

『ここ、並んで、』


ここ、と言って先輩が指すのは笠松さんの隣。
まさか、俺にまでふられるとはお思っていなくて、驚いていると、いまだに並んだままの二人から“早くしろ”と言うような鋭い視線が飛んできた、仕方なく言われた通りに並んだ。


『はい、チーズ!』


カシャッという音ともにフラッシュがたかれた。
撮り終わった先輩は嬉しそうに笑いながら携帯をほうって、今とった写真を確認している。

チラリと他の二人を見ると、「んだよ、」と宮地さんが不機嫌な声で聞いてきた。


「…あの、お二人はいつから名前先輩と?」

「ん?俺は小学校に入る前だよ、隣にアイツが越してきたんだ」

「…俺は小6のときだな」

「…それじゃあ、あの…名前さんがつけてる指輪ってお二人のどちらかが?」

「「!」」


ぎょっと目を見開いた二人の反応に聞いた自分も驚いてしまった。
今の反応はなんなんだ、と思っていると「…俺じゃねぇよ」「俺も、名前姉はあれ、小学生の時からつけてるぜ」と返ってきたので、更に驚きを隠せなくなった。


「…小学生?」

「おう、俺と会ったときにはもぅ持ってたからな」

「そういや、今は彼氏じゃないけど、今でも彼氏みたいなヤツから貰ったって言ってたな…」

「どういう意味ですか?それ?」


「知るか、」と眉を寄せて呟いた宮地さん。
まさかあの指輪がこんなに深いものだとは思いもしなかった。
チラリと先輩を見ると、先輩もちょうど携帯から顔をあげたところで目があって微笑まれた。


「宮地!片付けしろ!!!」

「笠松!帰るぞ!」

「「おう、」」


笠松さんも宮地さんもそれぞれの学校から呼ばれて返事をすると、クルリと体の向きを変えて先輩と向き合う。
先輩もそんな二人にさっき俺にしたように柔らかく微笑んだ。


『残念だな。せっかく会えたのに、もぅお別れなんて』

「…またそのうち会えるだろーが」

「…また、連絡する」


二人の言葉に「うん、待ってるね」と笑う先輩。
そんな彼女の笑顔に少しだけ笑顔を見せた二人はそのまま自分のチームの元へと帰っていった。


『いい子でしょー?』

「そうですね、いい人たちでした。(ボールを投げられたことを除けば)」

『ふふ、あー、でも…虹村くんも、ちゃんといい子認定してるからね?』


ふふっと、笑ってそんな事を言う先輩。
“弟”から脱出するにはまだ時間がかかりそうだと思いながら、笑顔の先輩を見るとまだしばらくはいいか、なんて思ったりしてしまったのだった。

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