夢小説 完結 | ナノ
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眠るーsleep


※激短文


『…あれ?赤葦くん、寝てるの?』


休日の午後。気持ちのよい風が吹いていたので部屋の換気のためにも窓を開けて掃除をしていると、いつの間にか赤葦くんがソファに座って眠っていた。器用にも手には貸した小説を持ったままである。
最近、少し疲れているのかもな。慣れない環境で社会人のチームに混ざるようになったけれど、そこでの練習は週に4日。今まで毎日ボールに触れていた彼にはそれでも足りないようで、家でもボールを触り夜に走りにも行っている。
気持ち良さそうに眠る赤葦くんに思わず手をのばして、ユラユラと風に揺れる癖っ毛を撫でると、閉じた瞼が小さく動いた。


『あ、ごめんね。起こしちゃった?』

「…おれ……寝てたんすかね……」


どこかぼんやりした顔で目を擦る赤葦くん。まだ眠そうだ。苦笑いしながら頷いて「まだ寝てていいよ」と頭を撫でると、意外にも気持ち良さそうに目を閉じた。こういう子供扱いは嫌そうなのに。まだ寝惚けているのかな。
ふふっと小さく笑っていると、赤葦くんの長い腕が腰に回されてそのまま引き寄せられた。向き合うように彼の膝の上に乗せられるとまるで甘えように胸の辺りに顔を埋めてきた。


『…赤葦くん…?また、寝る?』

「……」


薄いTシャツ越しに規則正しい寝息を感じ始めたので、また赤葦くんの髪をなで始めると腰に回っている腕に力を込められた気がした。
まだ、眠っていなかったのかな。寝てもいいんだよという意味を込めて広い背中をポンポンと撫でていると、今度こそ赤葦くんは夢の中へ落ちていった。

さて、どうしようかな。決して居やすいとは言えない格好だけれど、こんなに気持ち良さそうに眠る彼を起こすのは忍びない。
結局、風が入ってくるベランダ、揺れる洗濯物が乾くまで赤葦くんが起きるのを待つのだった。

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