夢小説 完結 | ナノ
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出会うーmeet


少しだけお酒を飲んで眠ったからなのか、その日はなんだか物凄くすんなりと眠りに落ちることができた。
それなのに、急に視界が明るくなった。
一体私の眠りを妨げているのは誰だ。
不機嫌さを隠すことなく眉を寄せて目を開けると、先ず目に映ったのはイケメンくんだった。


『……え?』

「……」


この子、一体どこのこ?
というか、ここってどこなの?
目を丸くして目の前のイケメンくんを見つめていると、相手も似たような表情をしていた。
驚いている顔も格好いい。
なんて呑気に考えていると、「あの、」とイケメンくんがおずおずと口を開いた。


「…ここ、どこでしょうか?」

『…えっと……私は、寝たはずだから……私の夢の中、とか…かな?』

「…あなたの、ですか?」


まるで意外だと言わんばかりの聞き方をするイケメンくんに頷いてみせると、イケメンくんが不思議そうに首を傾げた。


「…俺も、自分の部屋で寝たはずなんですが…」

『え?じゃあ…君の夢の中ってこと?』

「そうかと思ったんですが…」


こんなことあるのだろうか。
二人の人間の夢が繋がる、なんて。
何もない真っ白な空間の中、二人で首を捻っていると、「あの、」とイケメンくんが先に口を開いた。


「…お名前は?」

『え?あ、苗字名前、22歳です』

「赤葦京治、梟谷高校の2年です」

『…ふくろうだに?』


そんな学校、あったかな?
もしかしたら県外の高校なのかも、と赤葦くんに在住地を聞いてみると、彼も東京住みだという。
まあ東京の学校を全部把握しているわけではないし、もしかしたら何処かにあるのかもしれない。
特に気にとめることなく「そうなんだ」と赤葦くんに返すと彼はまた不思議そうに首を傾げた。


『どうしたの?』

「…いえ、もしかしたら知り合いなんじゃないかと思ったんですが…そんなこともなさそうですね」

『そうだね。私には赤葦くんみたいなイケメンくんの知り合いはいないかな』


ヘラリと笑ってみせると、赤葦くんは少しだけ目を見開いてから「…それはどうも…」と小さく呟いて顔を背けた。
あ、頬っぺた赤くなってる。
可愛いなあ、と頬を緩めていると少しだけ鋭い視線を向けられた。


「…あまり、からかわないで下さい」

『えー?からかったつもりはないけど…気にさわった
なら謝るよ。ごめんね』


肩を竦めて謝ると「いえ、その…謝って欲しいわけではないんですが…」赤葦くんをまた少し困らせてしまった。
その反応も可愛いんだけど、これを口に出すと今度こそ怒られそうなので黙っておいた。


『それにしても、こんなに意識がハッキリしてる夢を見るなんて初めてかも』

「…確かに、俺も初めてです」

『だよね。これ、本当に夢なのかな?』


自分の手足を見てなにかしら異変がないか確認すると、そういえば今の自分は色気も何もない部屋着なことに気付く。
まあ、これが彼に会うは最後だろうし、別に気にすることもないかな。
内心小さくため息をついたとき、キラリと真っ白な空間が更に明るくなった。


『…あ、もしかして目が覚める…のかな?』

「そうかもしれませんね」

『それじゃあお別れ、かな。じゃあね赤葦くん』

「はい、それでは…」


ヒラヒラと手をふって別れを告げると、赤葦くんは礼儀正しくお辞儀を返してくれた。
なんだかとてもいいこだったな。
彼が完全に見えなくなってしまうと、ハッキリとしていた意識がだんだんと遠退いていき、次に目が覚めたときには、自分の部屋の天井が目にはいるのだった。

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