夢小説 完結 | ナノ
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1 赤い髪の男の子と銀髪の担任


ひらひらと舞う桜が凄く綺麗で思わず見惚れてしまった
この学校の第一印象は“桜が綺麗”に決定。

ピンクの花びらを手にのせて微笑むと、ざあっと少し強い風が吹いて乗っていた花びらは見事に空に舞った。


『キレー…』

「そうですね」

『え、』


独り言のつもりでボソリと呟くとふいに後ろから答えが帰ってきた。


「ここの桜綺麗ですよね」


舞う花びらの中に包まれながら笑ったのは真っ赤な髪の男の子だった。



『案内、ありがとう』

「いえ、先輩は転校生だったんですね」


さっき会った男の子は赤司征十郎くんと言うここの一年生だった。


「じゃあ、僕はこれで」

『うん、ありがとね』


そっと頭を下げてきた赤司くんに笑顔で応えると、赤司くんは年下とは思えないほど大人びた笑顔で返してくれた。

いい子だったな、なんて思いながら案内してもらった職員室のドアを開けると、ズラリと並んだ机にちらほらと先生の姿が見える。
あたしのお目当ての先生はいるかな、とキョロキョロとしていると、特徴的な銀髪が目に入った。


『あ、いた』


昨日の時点で担任には会っていたので、少しホットしながら先生に近づくと、オレンジ髪の男の子が先に先生と話をしていた。


「だから、地毛だっつてんだろ!」

「あー、はいはい。じゃあ、何か?お前の毛は全身その頭と同じでさオレンジなわけ?
いやいや、それはないだろー、いくらなんでも下の毛までオレンジはないだろー」

「てめぇも人に言えるような頭かよ!」


なにやら言い争いをしている二人に、どうやって話しかけようかと考えていると、銀髪の先生のやる気のなさそうな目と目があった。


「おぅ、苗字」

『おはようございます』


ペコリと頭を下げると、先生は軽く手をあげて答えてくれて、オレンジ髪の男の子は「こいつ誰だ?」というような視線をかけてきた。


『あ、えっと転校してきた苗字名前です』

「え、ああ
俺は黒崎一護だ」


「よろしくな、」そう言って軽く笑ってきた黒崎くん。
派手な見た目で少しだけビビっていたけど、どうやら悪い人ではないみたいだ。


「まぁとりあえず、苗字はあっちで待ってろ、んでお前はもぅ出てけ」


坂田先生はあたしに職員室唯一のソファーに座るように指示すると、黒崎くんに犬や猫にするようにしっしっと手を払った


「そっちが呼んだんだろーが!!」


坂田先生の対応に怒りながらも職員室から出ていく黒崎くんに笑いながらも、先生に言われた通りソファーに座る。


「よっこらせっと、」


少し待つと坂田先生が来てあたしの目の前に腰をおろした。


「じゃあ、とりあえず挨拶…って、昨日もしたしなー、じゃあ、俺の好みのタイプでも教えるか」

「ふざけるな!」

「いて!!」


「んだよ」と叩かれた頭を撫でてから頭をあげた先生は叩いた人物を見ると「げっ」と顔をしかめた。


「げっ、とは何だ?」

「いえいえ、別にー」


坂田先生を叩いたのはナイスバディな女の人で、その顔には怒りマークが浮かんでいた。


「全く…あたしは教頭の綱手だ」


「よろしく」と手を差し出されて、慌ててその手を掴んで自己紹介をすると教頭先生は柔らかく笑ってくれた。


「この馬鹿担任に何かされたら言うんだよ。すぐに締め上げるからね」


ニッコリといい笑顔で恐ろしいことを言った教頭先生に苦笑いを返すと、教頭先生はゆっくりと手を離してくれた。


「あー、ハイハイ、教頭は自分の仕事を全うして下さーい」


坂田先生がヒラヒラと手を降って教頭先生にそう言うと、教頭先生は眉を寄せてもう一度坂田先生を叩いてから、その場をあとにした。


『あの、大丈夫ですか?』

「ん?ああ、あの女加減をしらねぇからな」


頭を擦りながらは言う坂田先生は恨めしそうに教頭先生が歩いていった方向を見る。


「あのババアあれでもお前の3倍は年くってるからよぉ、騙されんなよ、」

『ええ!?』

「とに、この学校はよ、変わった奴らが多いわけ。あ、俺はちげーよ?それに普通の学校よりも男子の割合がかなり多いのよ、だからよ、餓えた野獣がそこら中を歩いてるしよ、
あ、俺はちげーよ?だからよ、お前が心配なんだよ。あ、心配してるのはババアであって俺はちげーよ?」


早口で話す坂田先生に段々と面白くなってぷっと吹き出すと坂田先生は話すのをやめた


『す、すみまs「それだ」…え?』

「そうやって笑っときゃあ、とりあえず大丈夫だろ」


「だから、何も心配すんな、」そう言って頭を撫でてくれた坂田先生に胸が暖かくなった。

坂田先生は前の学校でのことを知ってるんだ、
だから先生の私を気遣ってくれる優しさに自然と笑みが溢れた。


『…はい』

「よし、いい返事だな」


柔らかな視線に少しだけ恥ずかしくなっていると、先生は急に立ち上がった


「おし、そろそろ行くか」


にっと笑って私を見てくる先生に頷いて立ち上がって、先生の後に続くように職員室から出る。

私が先生と向かうのは私の新しい居場所だった。

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