高鳴る心臓に合わせて顔に血液が集まっているようで。

「名前ってライナーの事、すごい好きだよね」

風に揺れる長い髪を耳にかけて振り返った
俺がそう言ったのは、半分嫌味で半分は話したかっただけ
話したかっただけなのに、俺自身が辛くなること分かってるクセに、名前と話したい

『え、いきなり、なんで?』
「ん?なんでそんなにライナーの事が好きなのかな、って」

これはほとんど俺の中の嫌味を含んだ言葉だった
ライナーじゃなくて、なんで俺にしないの?
そう心底思っているのに、この関係を壊したくなくて、言えない

『基本的に、ライナーが好きっていうのは、気づいたら好きになってて分かんないんだけどさ・・・』

そうか、俺も、名前の事、気づいたら好きになってたよ

『ほら、私って、身長がでかいじゃない?だから、ライナーとの距離が、他のみんなとは明らかに違って
最初はびっくりしたんだけどね、でも、すごく話しやすかった』

それがないと、私、ライナーの事好きにならなかったと思う
と、悲しそうに微笑んだ、俺ならこんな顔、させないのに

「・・・僕のほうが背は大きいよ」
『ふふ、そうだね、ベルトルトも話しやすくて、すごく安心するんだよ?』

その言葉が、俺にはすごく突き刺さってしまって、嬉しいし悲しい

「僕も名前とは話しやすかったし、顔が近いと表情も分かるから、話すと楽しいよ」
『やだ、嬉しい事言ってくれるなあー』

嬉しそうに笑う彼女が、俺には酷く遠く感じてしまった
彼女の想いが、俺に向いてくれればいいのに・・
そう思うだけで、辛くなってしまった、彼女の隣にいれるだけで、楽しいのに

『あ、でも私は、ベルトルトの事も好きよ?』

だから安心して?という彼女の言葉も耳に入らないほど、俺は舞い上がった
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