一回しか言わねぇからな

もう兵団を選ぶ時間が少なくなってきていた
超大型巨人がやってきて、また壁が壊され
そしてエレンの事を聞かされ、初めて巨人とご対面した
エレンが壁をふさいで、壁の中の巨人たちと戦って
よく私は死ななかったと思う
ジャンと私は生き残った
今、目の前で、マルコが燃えている
マルコは誰も知らないところで死んでしまった
炎を見つめながら、思い出に浸る

『マルコ・・・もっと話、聞いてほしかったよ・・これからも、聞いてほしいこといっぱいあるよ・・』

マルコは私とジャンの恋愛を応援してくれた
相談に乗ってくれた
それだけじゃない、マルコとは、少しの事で喧嘩したりもした
それも、もう、思い出になっている
マルコは死んでしまった

『マルコ・・・っ』

出るな出るな、と言い聞かせていても涙は出てくる
マルコのことだけじゃない、ほかのみんなの事も、追い打ちで、涙が止まらなかった
そんな私の肩を抱いてくれたジャンは、震えていた
みんな、泣いていた
地獄だった
夢だと思いたい巨人との記憶は、私が調査兵団にいけば、記憶ではなくなる
日々、あんなやつらと生きるか死ぬかの駆け引きをするのだ
私は、言葉にすれば、未来になるのを知りながら、震える声を、必死に出した
ジャンは炎を見つめていた

『ジャン、私ね・・・ちょ、うさ・・調査兵団に、なる』

ジャンは少しだけ目を見開いて私を見た
安心させたかった、ジャンのほうを見て、不器用に、震えながら微笑んだ
ジャンと離ればなれになってしまう、でも、そんな事いいんだ
私はジャンの世界を守って、ジャンは人の世界を守る
ジャンとの思い出が、私の反撃の翼になる気がした
それでも、そうは思っていても、ジャンと離れて巨人と戦うのはつらかった
今の私は、離れたくないと、体が震えていた

「名前・・・聞いてくれ・・・」

ジャンも震えていた
私を説得するのだろうか、否、でも、ジャンは今、そんな事をする人ではない
ジャンは、行ってしまうの・・・?

「お、俺は・・・」

声が震えていた
きっと私もこんなだったのだろう

「調査兵団になる・・・!」

ジャンの声はしっかりと、その事実を伝えてくれた
心臓の音が聞こえた
だから、ジャンは続けた、私の手を弱々しく掴んだ


「い、一回しか言わねぇからな・・・」


照れながら、それでも覚悟を決めた瞳で私を見た

「調査兵団になって・・巨人を根絶したら・・・」

ジャンは涙を流した

「結婚しよう・・・!」
『え・・・?』

驚きで涙も息も止まった
喉まで心臓が上がってきたような気がした
私は、震えながらも、しっかりと腕を動かして、ジャンを抱きしめた

『うん・・!ジャンと私の未来のために・・・・・死なないで・・・』
「俺は死なない、名前のことも、死なせない・・・!」
『私も、ジャンの事なんて死なせない!私も、死なないよ!』

死ぬ覚悟故ではなく、死なない覚悟故に、私たちは調査兵団になる
私達は、マルコの前で、愛を誓った
炎に照らされていたお互いの頬は熱く、涙もぬるかった






「いい所、大変申し訳ないが、どこか違うところでやってくれ」
『ラ、ライナー!・・・ごめん』
「涙もひっこんだぜ・・・」
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