照れて悪いかよ

「名前はジャンのどこが好きなの?」

夕食中、目の前のクリスタが突然そんなことを言った
思わずスープを掬う手が止まった
そんなクリスタの言葉を聞いて、私の隣のミーナが飛びついてきた

「そうだよ!名前はあんなジャンのどこが好きなの?」
『あんな、とか言わないの』

笑いながら誤魔化す

「誤魔化すんじゃないよ、あんた私の前でクリスタの質問無視する気?」
「そんな事言って、ユミルも聞きたいんでしょ?」

クリスタの横のユミルも、興味なさそうに頬杖をつきながら私を横目で見る
ミーナとクリスタは私に言え、と輝く瞳で訴えてくる

『・・・言わなきゃダメ?』
「「ダメ!」」

クリスタとミーナが同時に言った
と言っても、今食堂にいるのは女子だけではない
それに当の本人、ジャン・キルシュタインだって、私の背中側にマルコと一緒に座っている
だが、この三人はどうも気にしていないようで、私のことをじっと見ている
私は諦めて、周りに人がいないか確認してから考え始めた

『うーん・・・ジャンの好きな所かあ・・・』

ジャンは立体起動を基本に、なんでもできるし、私にはもったいないくらいの彼氏だ
それに優しいし、カッコイイし、何より私と一緒にいると照れ屋になる、それがまた可愛い
私にだけ依存しないで、勉強も、人間関係もちゃんと意識している
それでもちょっとだけ、ほんのちょこっとだけ、弱いのだ
そんな所を支えたいと思った

『・・・かなあ?』

私は思ったことを素直に言うと、三人は唖然としていた
三人はしばらくしてから、小さく拍手した

「・・・あ」

クリスタが呟いた
私の後ろを見ている
もしかして、聞き耳立てられた?
後ろを振り返る

『あ、ジャン・・・?』

もしかして、聞いてた?と問うと、ほんのり赤い頬が、さらに赤くなった
私は放心状態のジャンを置いたまま、三人に会釈して食器を片づけ、ジャンの腕をひっぱった
そのままジャンを外の小屋の前までつれていく

『あのー・・・ジャン?』
「・・お、おう・・・」
『もしかして・・・照れてる?』

ジャンの顔を覗き込みながら言うと、ジャンは図星、といったような顔をした
ジャンは口元を覆って目線をそらした


「・・照れて悪いかよ・・・」


相変わらず可愛いジャンの頭を撫でて、やられるがままになっているジャンを見つめた






「ジャン、食器、片付けろ」


ライナーの威圧的な声でジャンと私はハッとした
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