ばか、そんなんじゃねーよ

私は、クリスタやユミルと夕食を食べたあと、基本的に一人でいる
クリスタもそんな私を誘ってくれるけど、私は風の涼しいこの時間の外が好き
だから今日も雲が移動して星が見えるのを見ているの

「おお、名前じゃねえか、何やってんだ?」
『ジャン』

彼、ジャンは、同じ104期訓練生として知り合って、今や恋人同士だ
もう付き合って半年くらいになる。ジャンと私が緊張して同時に告白したときのことを覚えている
そんな私の大好きなジャンは隣に座った

「寒くないのか?」
『うん、もう秋だね。ジャンは寒くないの?』
「お、俺は・・・二人でこうしていれば、あったかい・・ぞ」

ジャンは照れながら私の手にもどかしくジャンの手を重ねてきた
同時に私の顔も耳まで赤くなった気がした
こんなんだからフランツたちに負けぬバカップルと言われるのだろう
でもエレンにバカみてえにイチャついてるんじゃねえ!と言われた時は
フランツたちのように、ポジティブに返事する所まで上級者な私達ではなかった
むしろエレンにそう言われたことで、犬猿の仲のようなジャンとエレンが、喧嘩になってしまった
そんなことを思い出していたら、ジャンが来てくれたというのにぼーっとしていた

「な、なあ、名前・・・」
『な、なあに?ジャン・・・』

ジャンが私の方を向く
いつもとは違う真剣なジャンの瞳にどきっとした
ジャンの頬はほんのり赤く染まっており、それにつられて私も同じようになる

「キス、しないか・・・」
『・・っ、ヤダ、そんなこと・・・』

聞かないで、
消え入りそうになった私の声を聞いて、
二人とも緊張しているんだ、と安心したジャンは優しく笑った
ジャンは私の頬を撫で、薄く目を瞑りながら顔を近づけてくる
私もそれと同じことをした
それぞれの廊下から訓練生の声がするのも、全然耳に入らなくて、夢中でジャンとキスをした
ジャンとキスするのは珍しい事ではない
彼も私も照れ屋だから時々しかしない
でも私はそれがまた、幸せに感じるのだ

『んっ・・・ジャンっ・・好き・・・』
「ばかっ・・・そんな可愛い事いうな・・ん・・」

秋の涼しい風が熱すぎる私たちを心地よく冷やしてくれるよう
気持ちいい、楽しい、ジャンが大好き
ジャンと唇を押し付け合いながらそう思った
するとジャンは私に体重をかけ始めたではないか

『え、え?・・ジャン・・・っ』

私が何か言おうとするとジャンは私にキスをする
ついに優しくジャンの下に倒れてしまった私は、ドキドキして正面からジャンのことが見れない

『・・・ジャン?』
「・・・・悪ィ」

そう言うと私の上からどいた
私はゆっくり起きあがあって、ジャンの横顔を見た
私に負けないくらい赤い顔だった

今日はすごくドキドキした

時間も過ぎていたので、二人とも帰ることにした




二人で廊下を歩いている時・・・


『・・もしかして、ジャンって童貞・・・?』
「ばか、そんなんじゃねーよ!」

赤面して、焦ったように言うジャンは、私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた
そのまま手を私の頭に置いたまま消え入りそうな声を出した

「・・それなら、試してみるか?」
『え?なんて言った?』
「な、なんでもねえよ!!」
「どうしたー?」

ライナーの一言で一ミリも隙間がなかったところに三十センチほど隙間ができた
二人の顔は真っ赤だった
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