額縁の中の世界 | ナノ

「意外でした」



<黄瀬side>



「黄瀬君、遅いです」

「ッッ!?」

 ギャラリーから降りた階段下で、誰かに声を掛けられた。

「黒子っち……マジやめて欲しいッス。それ」

 どうやら、黒子の存在に気付かずに前を素通りしようとしていたらしい。安定の影の薄さで全く気がつかなかった。

「黄瀬君が嵩原先輩をギャラリーに案内しに行ったきりなかなか帰ってこないから、様子を見てこいと主将に言われました」

「あー……うん。絞られるんだろうなぁ……」

 肩を落として、黒子と並んで歩く。



「……黄瀬君が先輩を知っているなんて、意外でした」



 黒子が、静かでいて妙に力を感じる声で呟く。

「いつから居たんスか、ホント」

 黄瀬は苦笑を浮かべながら軽く言葉を返す。別に誰かに聞かれて困るような話はしていないが、こうも気付かないうちに話を聞かれていてはプライバシーも何もあったものではないなと思いながら。

「嵩原先輩が、言葉遣いを気にかけているという話からです」

「様子見に来たにしては随分ゆっくりしてたッスねー」

 黒子が彼女を気にしているのは、何となく気付いている。しかし、敢えてそこに触れることはしない。



「まぁ、向こうが覚えてないってのが俺としては不思議で仕方がないッスね〜。だって俺モデルッスよ?」

「軽い人は眼中に無いんじゃないですか」

「酷い!」



 いつもと変わらない軽口を交わしながら練習に戻ると、虹村の予想以上の怒りに触れた。



「おいテメェ等!!!何チンタラ歩いてんだコラ!!!」



 「しまった」、と呟きつつ、部活中に抜けて歩いてのんびり戻ってきたらそれはそうなるなと納得して、黄瀬は大人しく黒子と二人で虹村の鬼のようなペナルティを受けた。





ーーーーーーーーーーーーーーー

黒子が慈海に興味を持ち始めた!

気になりだしたきっかけなどはのちほど。

あと黄瀬がどうして慈海を知っているかもまたのちほど。


2014.01.23


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