―……はらり、ひらり。



巡察を済ませ屯所が近くに見えてきた途中。
何処からか桜の花弁が自分の目の前を通り過ぎひらひらと舞う。



「……あ、桜」


―そうか、今の時期桜が満開でそろそろ葉桜になる頃だ。

そしてふと、今日は永倉新八の誕生日だという事に沖田は気付く。
それまで歩みを進めていた足をピタリと止める。

「……沖田組長?どうかされましたか?」

―ちょうど今屯所に着いた所だし…まだ間に合う……かな。

「…ううん、何でもないよ。
今日の巡察は終わった事だし……ここで解散してしまおうか。
土方さんには後で報告しておくから…皆お疲れ様。」

「はい、では沖田組長お疲れ様です」

そう言い隊士達は各自の場所へとゾロゾロと入って行く。

新八さん、明日は朝から巡察入っているけれど今日は確か非番だったはず。


茜色の空。
まだ急げば間に合うかもしれない。

屯所の中側の門の下に突っ立っていた足は踵を返しとある場所へと走って向かって行った。



***


あれからちょっと一刻程経ってから屯所に着いた。
遅い報告に土方にちょっとガミガミと怒鳴られてしまったが……いつもの事なので気にしない事にする。


(……さて、と)


夕餉の後。

食べた後だからか広間の縁側で胃を休めるべく一休みしている新八さん。


「……ねえ新八さん」

「お?……なんだ総司か、どうした」

「ちょっとね、新八さんに用があって。僕の部屋の縁側まで一緒に来てくれる?」

「んん、俺にか?
別に構わないぜ…んじゃ、行くか?」

そう言って立ち上がり先に歩みを進める。
その後ろ姿を見、自分より背は低いけれどガッチリした逞しい背中にとくん。と心が動く。


非番の時や夜の巡察ない時は大体島原行っちゃうし、お酒にだらしない所もあるけれど。

何だかんだ義理人情深くて何に対しても真面目で、勤勉で。

(…そういうところが凄く、好き。)



―沖田の自室の前の縁側。

ちょっと座ってて…と沖田に言われ、言われるままに縁側に腰を下ろす。
沖田は自室に何か取りに入ったようだ。

さあ、と風が吹き風が髪を揺らし、頬を撫でる。


「すみません新八さん。お待たせしました」
そう言いながら手には団子が入った包みとお酒。

「今日巡察の帰り花弁がひらひら舞ってて。それで今日は新八さんの誕生日だっていう事を思い出したんです。
もう夕方だったし団子屋さんが開いてるか心配しちゃって。
走って急いだら何とか間に合いましたよー。
…というか忘れていて本当にすみませんでした」

と苦笑いで口にしながら包みを広げ、御猪口を新八に渡し酒を注いでくる。


(……そうか今日は自分の誕生日だった)

だからいつもより帰って来るのが少し遅かったのか。
クイッと酒を口に流し込みコトン、と自分の横に御猪口を置く。


「……総司」

「?……はい?」

「その、祝ってくれて有り難う…な」

「……っ」

いえ…別に……とちょっと顔を紅く染めながら俯く総司が堪らなく可愛くて。

思わず肩を引き寄せ沖田の唇に合わせるだけの接吻をして。


「……なあ。今物凄く総司が欲しいんだけど、駄目か?」


「…駄目です………と言いたい所だけど。団子、食べてください。せっかく走ってまで買ってきたんですから」

「そうだな……了解。」


「…新八さん生まれてきてくれて、出逢ってくれて有り難うございます」

その言葉に何ともいえない想いが込み上げて…目眩がしそうで。

沖田にもう一度だけ口付けた。


何処からかひらひらと風に乗り桜の花弁が舞い落ちる。


まるで二人を優しく見つめるかの如く。





***


甘甘だ!!!

急いで書き書きしたので何だかいつも以上に意味不明ですね!!
忘れてて、というか気付かなくてすみませんでした(土下座)


永倉さんが居なかったら文献も残らなかっただろうし。
新撰組という存在も闇に埋もれたままで、彼らの存在も生き様も知ることなかっただろうし。
改めて偉大な方なんだなあって思います^^


おめでとうございます!日にち過ぎちゃったけど(汗)


2012.4/12
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