隣に居られる幸福(幸福で5のお題)

 


言葉のない空間。

流れる空気。

静かな雰囲気。


それが貴方との時間。


いつも側に居てくれるから、安心してしまう…。




隣に居られる幸福





なまえは太陽の光を吸収して暖かい匂いをさせる洗濯物を竿からおろすと、ふと横を見た。

そこに居るのは、三番隊隊長・斎藤一。斎藤は何をするでもなく、ただなまえを見ている。

取り込んだ洗濯物を縁側に置いて、なまえは斎藤の横に腰を下ろした。


膝の上で洗濯物を畳んでいくなまえの指先を見て、ゆっくり微笑む。
なまえも、そんな斎藤を見て微笑んだ。




「ねぇ斎藤先生?」


「なんだ」


ゆったりと、空気が流れる。


斎藤はなまえの呼び掛けに短く返すと、背中を預けていた柱から離れ、なまえの隣に座り直した。



「好きです」


洗濯物を畳みながら、平然を装ってその四文字を口に出す。
すると斎藤は「そうか」と短く返した。



「はぐらかさないで下さい。私は本当に斎藤先生が好きなんです」

「はぐらかしている訳ではない」


「じゃあ、なんですか」


「……いや」



畳み終わった洗濯物を後ろに積んで、なまえは斎藤の目を見つめる。
それに倣うように、斎藤もなまえの目を見つめ返した。


「もしかして…、照れていらっしゃいますか?」

斎藤の頬がほのかに桜に染まった気がして、なまえは恐る恐る訊ねた。
そんな言葉に、斎藤は微かに目を細める。


「…相変わらず恐るべき洞察力だな、なまえは」

「お褒めにあずかり光栄です。それで、照れてらっしゃるんですか?」

「……そうだな」

「ふふっ、そうですか」


ゆっくり、空気が流れる。
言葉のない空間は、静かな雰囲気を纏ったまま、けれど息苦しいモノではなく。

それは大好きな人との時間だからだ。いつも側に居てくれるから、安心して笑っていられる。


それが、隣に居られる幸福。



end


ゆったりほのぼの。
そんな毎日も良いと思うよ。


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