破壊神の降臨
(永倉新八さん)
がちゃん。
そんな音が、耳に届いた。
「…あぁぁー…」
次いで聞こえたのは、愛しいあの子の声。
どうしたノ?とか大丈夫?とか、そんな事は言うまでもなかった。
寧ろ言うべきは、
「…なまえ、また?」
「やーぁ、新ちゃんはあっち行ってて!」
「あっち行ってても何も、ココ俺ん家なんだけど」
「でも待っててー!」
背中を押されて我が家のキッチンから追いやられた俺は、割れた皿をどう弁解しようか口を曲げた。
(いや、大丈夫か。うちの母さん、なまえには甘いから。)
耳を澄ませば、がちゃがちゃという皿がぶつかり合う不穏な音。
鼻をひくつかせれば、微かに香る甘いお菓子の香りと何故か香ばしい香り。
要するに、何か焦げてるんだろう。
「何でまたお菓子作りなんか…」
「左之君をぎゃふんと言わせるのっ! 左之君ってば、彼女がお菓子作りの天才だからってなまえの事バカにするんだもんっ」
「ぎゃふんねぇ…」
まったくもう、左之助も余計な事を吹き込んでくれたもんだ。
意気込む背中を見ながら、俺は息を吐いた。
破壊神の降臨(出来たら新ちゃんが食べて、左之君を蹴散らしてやってね!)
(あー…その前に焦げ臭いからどうにかしようヨ)
(え? あぁぁ!)
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