誠なる真(いち)


「じゃ、新八。あとの事は任せた」

「わかりました。銀さんもあんまり無理しないで下さいよ、怪我とかされたら困りますから」

「わーってるよ。」



行ってきまーす、と間延びする声で聞こえた後、行ってらっしゃいと言う新八ちゃんの優しい声が万事屋の中に響き渡る。

今日から私の依頼は新八ちゃんが担当し、銀ちゃんは別の仕事をするらしい。


依頼がふたつ重なるなんて、一ヶ月仕事が無かったというこの万事屋には珍しい事なんじゃなかろうか。



「で…、私達はどうするの?」


もぐもぐと朝ごはんのおかずを頬張る神楽ちゃんの横で、私は首を傾げた。
新八ちゃんはそんな神楽ちゃんに御飯のお代わりをよそってあげている。



「とりあえず、銀さんが『京都の地図で小百合の家の場所の検討しとけ』って言ってたんで、まずは京都の地図を買ってこなくちゃいけないですね。」

「新八ぃ、おかわりヨロシ?」

「ハイハイ。地図はあとで買い物する時に一緒に買ってくるんで…その間、小百合さんどうしますか?」


すごいなぁ、神楽ちゃん。あの小さな体のどこにあんな量の食べ物が入るんだろう…。
もう何杯目になるかわからないお代わりを神楽ちゃんに差し出しながら、新八ちゃんは笑った。


どうするか、と言われても、はっきり言って別に行く所もない。
だから万事屋でお留守番という手もあるんだけども…


「んと…そうだなぁ。」


そういえばこっちに来てから、一回もお外に出てないんだっけ。

一昨日、要するに此処に来た日は、結局家の中の探索に費やしてしまった。
昨日は昨日で、桂さんとおまんじゅう食べた後は満腹で寝てしまったし、私はこの街をまだ何も知らない。

じゃあ、する事といえばやっぱり……



「一緒に行くー!」

この町の探険だ。

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