ヘンゼルとグレーテル

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「どうして? 昨日は優しかったのに、どうしていきなり、そんな」

 かぁ、と頬を赤らめるグレーテルでしたが、魔女は目が悪かったので、そんな彼の様子には気付きません。
 にっこりと微笑むと、グレーテルの頭を撫でました。

「だって、私は魔女だから。君達に食事をふるまってあげたでしょう? 私も、食べないとね。弱肉強食だよ」

「弱肉」
「強食」

 魔女の台詞を繰り返すと、兄妹はにんまりと笑いました。

 それからしばらく、グレーテルはご馳走を作り、3人でそれを食べました。毎朝魔女はヘンゼルの腕を確認しましたが、その度にヘンゼルは鳥の骨を差し出します。

「おやおや、全然肥らないね。ちゃんと食べてるの?」

 目の悪い魔女はそれを疑わず、ヘンゼルは食べられずに済みました。


 けれど、やはり限界はあります。


 ある日、魔女は言いました。

「これ以上養ってる場合でもないし、仕方ない。痩せてるけど、もう君を食べよう」

 びっくりしたのはヘンゼルとグレーテルです。

「で、デブ専が痩せててもいいなんて!」
「よっぽど溜まってるんだよ!」

 大騒ぎするふたりに構わず、魔女はヘンゼルを料理するための準備を始めました。

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