StP side:Y

02



「俺は授業聞きてぇの。邪魔すんな」
「んだよ、つれねぇなー。ほら、夏弥だって好きだろ? こーゆーの」
「ひっ、何すんだよっ…!」

 何をされたのだろう。その授業はもうそればかりが頭を埋めて、悶々として身が入らなかった。

 そしてその夜から、僕は『反応しちゃう』夏弥の痴態を、夏弥の上げる嬌声を、ずっと夢想し続けてきたのだ。

 それからも夏弥は、僕が見ているところ、聞いているところで、頻繁に僕を誘うような言動を繰り返した。
 可愛い顔で笑って、いやらしい声で煽った。

 だからそれが届いているよと夏弥に伝えたくて、何度も手紙を書いた。

「可愛い夏弥…。もう離さないからね…」

 とりあえず最初の内は恐くないように、痛くないように、たくさんお薬を使ってあげる。
 夏弥はとっても気持ち良くならないと素直になれないから、そうした意味も込めて。

 お薬でとろとろになってるときに、いっぱい愛してあげるよ。
 そうしたら、夏弥もすぐに、お薬がなくても僕が欲しくてたまらなくなるはずだから。

「ぅ、ん…」

 夏弥が眉をひそめる。そして、薄く目を開いた。

「あ…?」

 かすれた声で夏弥が言う。
 まだ僕が布団にいることが信じられないのかな。たっぷりお薬を使ったから、まだ現実と夢の区別がつきにくいはずだ。

 半分だけ開いた唇に、ついばむようなキスをする。

「おはよう、夏弥。あいしてる…」


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