03


 覆いかぶさるようにまた唇を吸われ、舌を捻じ込まれる。


「んッん゙ん…!」
 ちゅく、ぢゅる…っ


 頭の芯を茹だらせる水音が、頭蓋骨の中に直接響く。今井の視線が刺さる。

 口内を別の生き物みたいなぶ厚い他人の舌が暴れ回るから、唇からどちらのかも分からない唾液が溢れて垂れた。

 「せ、せんぱい…」弱々しい今井の声がする。頭の中はぐちゃぐちゃで、藻掻いても手首や椅子に固定しているベルトが擦れて痛いばかりだ。

 ようやく唇を離すと、木築は麻倉のインナーをナイフで裂き、スラックスのジッパーも開いて覗いたボクサーパンツに指を滑らせた。

「ッ! やめろ変態…!」
「抵抗すんな。かわいいコウハイがヤク漬けの廃人になっちまうぞ」

 根元からしっかりと扱き上げられて完全に勃ち切ってしまった乳首を、手遊びのようにぴんッぴんッと弾かれる。

「…っ、ッ…ん゙、ぅ…っ」

 抵抗すれば今井の人生が終わってしまう。そう思えば、抵抗する声も弱々しく震えた。

 明らかに動きの鈍った麻倉のスラックスを、木築が下着ごとずり下ろした。


「〜〜〜っ!」


 開かれたシャツに緩んだタイ、裂かれたインナーに、脱がされた下衣。かあぁっ、と顔面に熱が昇った。

「みッ、見るな…! 触んな…!」
「さすがに勃たねェな」
「んッ、ぅ…」

 しげしげと力ない性器を木築が持ち上げ、軽く扱く。

 今井も赤い顔で木築の手元を凝視していた。

 それだけでも死ねそうなくらいに恥ずかしくて堪らないというのに、木築は一度麻倉の傍を離れると、手足を結束バンドで拘束されたままの今井の首根っこをひっ掴み、麻倉の前まで放り出した。

 なんとか膝立ちでなった今井の目の前に、麻倉の性器がある格好になる。


「ッ! み、見んな…!」
「お前のためにセンパイがカラダ張ってくれてんだ。しゃぶって礼でもするんだな」
「ぐっ、ッぁ…、っせ、先輩…っ」


 髪が全部抜けるのではないかと思うくらいに雑な手つきで、木築が今井の髪を掴んで麻倉の股間に導いた。吐息が。掛か、る。

「ッ…いま、い…」

 やめろ、と言ったら後輩の人生が終わるのだろうか。でも、相手の言う通りにしろとは口が裂けても言えない。

「おいてめエ、…ウチの商品を希望してんなら死ぬギリギリの量を打ってやろうか? 泡噴いてぶっ飛んで、吐き散らかしながらのたうち回れるぜ?」
「ぐッ…!」

 今井の耳に、木築の低音が凄む。「おら、舌出せ」促され、今井は震えながら口を開いた。



 ぺろ、と舌が性器の先端を撫でた。



「んっ…!」

 その刺激にガクッと不随意に麻倉の全身が跳ねて、木築が呆れたように笑った。


「はッ、スキモノが」
「ッざ、けんな…、っぅ、ん…ッ!?」
「は…、先輩…」

 ぺろ…ぺろっ…、

「ッ今井…っ!?」


 熱に浮かされた瞳が麻倉を見上げ、舌の動きが積極性を増す。少しざらつく舌が敏感な先端部を擦り、ぞくぞくと腰の裏辺りになにかが走り抜けていった。

 あまりの倒錯に、眩暈がする。

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